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 東京大空襲から10日で76年となるのを前に、犠牲者の名前を読み上げる追悼集会が8日、東京大空襲・戦災資料センター(東京都江東区)で初めて開かれた。遺族らが企画し、了解を得られた410人の名前などが読み上げられた。

 1945年3月10日の東京大空襲では、わずか2時間半の爆撃で約10万人が犠牲になったとされる。だが、国による本格的な研究や資料収集は行われていないうえ、民間の被害者は補償の対象外だ。

 さらに、東京大空襲の犠牲者名簿は都立横網町公園(東京都墨田区)の祈念碑に納められているが、個人情報保護などを理由に非公開とされ、一般の人が目にすることができない。沖縄戦の犠牲者が沖縄県平和祈念公園(糸満市)内にある石碑「平和の礎(いしじ)」に名前が刻まれているのとは大きな違いがある。

 この日の集会に出席した栃木県足利市の木村マスさん(81)は、父忠次さん、母シマさん、弟善郎(よしろう)さん、妹ミチ子さんを大空襲で失い、戦災孤児となった。それぞれの名前を自ら読み上げ、「76年もたちますが、ぐっと胸にこみ上げるものがありました」と話した。これまでの慰霊祭で犠牲者の名前が読み上げられたことはなかったといい、「平和の礎のような石碑を作ってもらいたい。名簿すら非公開なんて、殺された両親やきょうだいの存在が消されていくようで、つらい」と語った。

 大空襲で母と2人の弟を亡くした発起人の河合節子さん(81)は「名前を読み上げることで、犠牲となった人たちに思いをはせてもらえれば」と語った。(抜井規泰)