たい焼き売れたら被災地寄付 10年で459万円に

山野拓郎
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 東日本大震災で保護者を亡くした子どもたちのために、売れ行きに応じて寄付を続けているたい焼き専門店が三重県にある。震災の翌月、「たい焼きが1枚売れたら1円を寄付」で始め、まもなく10年が経つ。

 三重県玉城町に本店がある「たいやきわらしべ」。店を運営する有限会社わらしべ社長の福田圭さん(47)は「温かいたい焼きを手にしていただくときに、東北の復興を共に願いたいと思い、微力ながら支援を続けています」と話す。

 三重県産の小麦粉を使ってひき方からこだわり、外はパリッと、中はモチモチした食感。あんこを抜いた「あんなしたい焼き」という人気商品もある。2009年に店を開いて以降、口コミで人気が広がり、全国に約20店舗を構える。

 福田さんの父、畑(はた)守さん(16年に70歳で死去)が営んでいたのは、ベアリング工場だった。08年のリーマン・ショックのあおりで売り上げが半減。「2次下請けの加工業では将来的にも厳しい」と、雇用を守るため、09年に従業員とたい焼き専門店を始めた。

 畑さんは「たい焼きマニア」だったという。工場の片隅で小麦粉の配合を工夫しながら自作しており、その経験を生かした。後にベアリングからは撤退し、いまはたい焼き一本だ。

 11年3月の東日本大震災を受け、翌4月から、畑さんはたい焼きが1枚売れるごとに1円を「あしなが育英会」に寄付することにした。「私たちもリーマン・ショックで大変な思いをしたが、たい焼きを始め、みなさまの支援で何とか頑張ってこられた。被災地のために一緒に頑張っていきたい」と福田さんは亡き父の思いを代弁する。

 育英会は、病気や災害などで親を亡くした子どもたちを奨学金などで支えている。たい焼きの人気が上がって1枚売れるごとの計算が大変になったため、その後は3万枚の売り上げに相当する毎月3万円の寄付を続けており、チャリティーのイベントも含め、総額で約459万円になったという。

 「東日本大震災は忘れてはいけない」と福田さん。今年に入り、毎月の3万円に加え、「あんなしたい焼き」が1枚売れたら倍の2円を寄付することにした。「震災の年に生まれた子が20歳になる31年までは支援を続けたい」と話す。(山野拓郎)