「見せましょう、野球の底力を」 嶋基宏が模索する答え

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室田賢
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 東日本大震災から約3週間後、プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの選手会長だった嶋基宏(36)=現東京ヤクルトスワローズ=のスピーチは多くの共感を呼んだ。これをきっかけに前を向いた被災者もいる。あれから10年。「今はニュースでやることも少ないし、風化させてはいけない」。本人が被災地への思いを語った。

 地震発生時、楽天は兵庫県明石市でオープン戦を戦っていた。試合は打ち切られ、チームは仙台に戻れないまま転々とし、札幌ドームであった4月2日の慈善試合をむかえる。

 事前に渡されたスピーチ原案は、被災者と同じ目線になるよう一部の文言を変えた。「まだ仙台に帰ってもいないし、自分たちの目で見ていない。選手の思いを伝える場面が少なく、そういうのを伝えたかった」

 試合前、しっかりとした口調で訴えた。

 「今、スポーツの域を超えて、野球の真価が問われていると思います。見せましょう、野球の底力を」

 「見せましょう、野球選手の底力を。見せましょう、野球ファンの底力を。共にがんばろう、東北。支え合おう、日本」

「みんなが待ってる」と感じた瞬間

 仙台にようやく戻れたのは4月7日。翌日には避難所となっていた宮城県東松島市内の小学校に出むいた。「行く途中も道の両脇にがれきがあったり、海から流れてきたごみがあったり。ずっと砂埃(すなぼこり)が立っていて、何だろうなこの光景は、と。言葉が出なかった。ただ、車から見ているだけでした」

 スピーチの反響は大きく、感謝の声が届いた。無責任に励ましたくはないと自らに言い聞かせていたものの、「正直、こんな風になるなんて思っていなかった」。被災地に行っていない自分は、被災者のことを深く考えられていたのか。どこか申し訳なさも感じたという。

 そんな中、前向きになれた出…

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