第4回専門学生も豊田章男社長も参戦 耐久レースが育む車産業
約5千万円もするメルセデスの高級レーシングカーから市販車を改造した小型車フィットまで。多様な車種が走るレース「スーパー耐久」。そこを授業の場に選んだ専門学校がある。千葉県成田市の日本自動車大学校(NATS)。多くの人材を自動車メーカーや販売店に送り出している。
「最速」が示す車の未来
燃料を大量に使い、排ガスをまき散らす。そんなモータースポーツは過去のもの。いまは高効率エンジンや自動運転の先端技術に挑む場になっています。5回にわたり、レースの現場から未来の車のヒントを紹介します。
担当するのは車の整備。モータースポーツ科で指導する金井亮忠(37)は「予期せぬトラブルが発生し、時間内に対応できないとリタイアになることもある。この厳しさが即戦力の人材を育てる」と説明する。
昨年10月、宮城県のスポーツランドSUGOで開かれたレースでは、白いマツダ・ロードスターがピットに飛び込むと、車に駆け寄って素早く給油とドライバー交代。30秒足らずの作業の後、車はコースに戻っていった。手慣れた様子で、安心感があった。
ただ、班長の豊福大樹(21)は「直前の日曜日にトラブルが見つかり、本当に走れるのか不安だった」と明かす。部品交換後、突然、車が動かなくなった。エンジンを降ろすなどの作業を連日、未明まで繰り返したが、理由が分からない。追い詰められて前の部品と見比べると、部品番号は同じなのに微妙に形が違った。豊福は「こんなことがあるのか」と驚いた。
NATSに車を託したのは…