震災10年、変われぬ日本の希望は 中沢新一さんに聞く

有料会員記事

藤生京子
[PR]

 甚大な被害をもたらした東日本大震災から10年。「日本の大転換」と題した文明論を発表し、政治変革を呼びかけた活動を展開するなど、試行錯誤をしてきた思想家・人類学者の中沢新一さん(70)に聞いた。

 震災後の動きは早かった。文芸誌に「日本の大転換」を寄せたのが、発生から1カ月半余り後のこと。地震と津波、そして東京電力福島第一原発事故で、日本文明は破綻(はたん)への道に足を踏み入れたと指摘した。

 従来のイデオロギー的な反原発の主張でも、堕落した資本主義への譴責(けんせき)という理解でもなかった。「エネルゴロジー(エネルギーの存在論)」からみた、人類史における原子力の特異性に焦点を当てた。太陽エネルギーの循環の中で長い時間をかけ蓄積された石炭や石油と違い、原子核融合などの高エネルギー現象を無媒介に直接的に地球の生態圏内部へ持ち込む原子力は、現在の技術では安全上の欠陥が大きい。しかも本来ない「外部」を持ち込むという思考回路は、生態圏の自然の秩序や調和を重んじる多神教やアニミズムと異なり、現代資本主義を駆動させているユダヤ教キリスト教など一神教の超越的な世界観と同じ過激さをはらむ、と踏み込んだ。

 「わかりづらい、悠長だと批判も受けました。でも土台となる思想を解き明かさなければと考えた。新自由主義的な経済は限界に近づいている、という予感が現実になった危機感でした」

 では、どんな見取り図が有効…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。