谷脇氏、定年特例外れ3月末退職か 接待問題解明に暗雲

[PR]

 NTT側からの高額な接待が判明した谷脇康彦・前総務審議官(60)が、今月末までに総務省を退職する可能性が高いことがわかった。8日付の更迭人事で定年延長の特例が適用されなくなったためで、退職すれば真相究明が難しくなる恐れもある。総務省の自主調査の限界が露呈し、検証委員会の設置にも時間がかかるなど、全容解明に暗雲が漂っている。

 国家公務員法では、一般職職員の定年は原則60歳。60歳に達した次の3月末が定年退職日となるが、事務次官級など一部の役職は人事院規則の特例で定年が62歳に延長される。

 昨年9月に60歳となった谷脇氏は一昨年末に次官級の総務審議官に就き、定年延長の特例が適用された。だが、8日付で大臣官房付となり、特例が外れて定年が60歳に戻った。次官級への復活がない限り、今月末が定年退職日となる。

 谷脇氏は放送関連会社「東北新社」からの接待で2月に懲戒減給処分を受けたのに続き、NTT側からも3回、計10万円超の接待が判明。再び懲戒処分を受ける可能性が高い。

NTTも東北新社も調査委

 総務省は月内にも追加処分を出す方向だが、谷脇氏に判明分以外の接待がなかったか、谷脇氏が主導した通信行政に接待の影響がなかったかを調べるには、一定の時間がかかりそうだ。谷脇氏が退職すれば、国家公務員倫理法にもとづく処分の対象外になる。総務省幹部の一人は「退職後も必要な調査は続けたい」と話すが、実際に谷脇氏が調査に応じるかは不透明で、真相究明が難しくなるとの懸念は強い。

 NTTは9日、接待の実態や原因を調べる特別調査委員会を同日付で設置したと発表した。委員長は同社社外取締役榊原定征・元東レ会長で、委員には社外監査役の飯田隆弁護士、検察出身の外部弁護士2人が就く。総務省幹部との会食を詳しく調べる方向で、接待数は今後さらに増えると見込まれる。

 一方、接待が先に発覚した東北新社は先月12日に特別調査委員会を設置。中間報告をもとに社長が同26日に引責辞任したが、調査の中身や結果についてはまだ明らかにしていない。

行政倫理に詳しい上脇博之・神戸学院大教授の話

 退職した国家公務員に処分が出せないことと、在職中の行為が適法かどうかを調べることは別問題だ。倫理法令の趣旨に照らしても、行為に疑念が持たれた以上は真相究明が求められる。なぜ接待されたか。行政のゆがみはなかったか。当事者には説明責任があり、総務省は退職者であっても積極的に調べるべきだ。退職者を調べずに幕引きを急げば、全容解明が遠のき、菅義偉政権自体の自浄能力が疑われることになる。