NHK経営委員長に森下氏を再任 かんぽ報道巡り批判も

守真弓、黒田健朗
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 NHK経営委員会は9日、委員長に森下俊三氏(75)=関西情報センター会長=を互選で選出した。再任となる。森下氏はかんぽ報道問題を巡り当時の会長への厳重注意を主導したなどとされており、続投には市民団体などから反対の声もあがっている。

 経営委は12人の委員からなり、予算の議決や会長の任免などを行うNHKの最高意思決定機関。この日の会合では森下氏を含む2人が候補者に推薦されたが1人が辞退し、最終的に「議事進行において丁寧に円滑な運営をしてきた」などとして、全員一致で森下氏が選出されたという。森下氏は、「受信料で成り立っている公共放送としてNHKがより一層信頼され、放送法で定められた役割を果たせるよう、執行部とも良い緊張関係を保ちながら務めて参りたい」と抱負を述べた。村田晃嗣氏(56)=同志社大教授=の委員長代行としての続投も決まった。

 かんぽ報道問題をめぐっては、18年、「クローズアップ現代+」の取材手法などを巡り、日本郵政グループがNHKに抗議、経営委にもガバナンスの検証を求めた。これを受け、経営委は、「ガバナンス強化」名目で当時会長だった上田良一氏を厳重注意。議論の中で、当時委員長代行だった森下氏らが番組制作手法を批判したとされ、放送法が禁じる経営委員の番組への干渉にあたるとの指摘もある。

 19年に委員長になった森下氏の下、経営委はこうした議論の経緯がわかる議事録の全面開示を拒んできた。NHKの第三者機関「情報公開・個人情報保護審議委員会」は2度にわたって全面的に開示すべきだと指摘する答申を出している。過去に第三者機関の委員も務めた宍戸常寿(じょうじ)・東京大学教授は、答申にもかかわらず議事録を全面開示しなければ、契約義務違反などにあたるとする申入書を2月16日付で、前田晃伸会長と森下氏宛てに送付したという。宍戸氏は朝日新聞の取材に対し、「自分たちで作った情報公開規定をないがしろにして説明義務を果たさないのであれば、忠実義務に反する」と指摘する。

 森下氏の再任を巡っては、学者や市民団体などがかんぽ報道問題などを理由に反対の声を上げている。森下氏は「(こうした声は)ご意見としておうかがいし、これからの行動の参考にしたい」と述べた。(守真弓、黒田健朗)