山陰発の「炉端かば」、パン店開業 好調業態で苦境打破
コロナ禍で外食産業が大きな打撃を受ける中、山陰両県と首都圏で居酒屋「炉端かば」を運営する「かばはうすホールディングス」(本社・島根県安来市)が16日、新たにパン店を開店する。好調の異業種への参入で、コロナを乗り切ろうと模索している。
開業を目前に控えた9日、安来市安来町のパン店「あめのちハレ」では、慌ただしく販売研修が行われていた。JR安来駅近くの50坪ほどの空き店舗を改装して入居。パンを作る工房やイートインコーナーも備え、地元産のイチゴを使ったクリームクロワッサンや、目玉商品のようかんを挟んだ塩バターロールなど、34種類が棚に並ぶ。
店名の「あめのちハレ」には、暗いニュースが多い時代に明るい光が届くようにと願いを込めた。従業員13人のうち、3人は炉端かばからの「移籍組」だ。
かばはうすはコロナの影響を受け、運営する国内約40店舗のうち7店舗が閉店に追い込まれた。外食が敬遠される中、一時休業やランチ営業のみの店舗も多く、売り上げは激減したという。こうした状況を受け、同社は昨春、パン店業界への参入を企画。国産小麦を使用したパン屋として人気の「おかやま工房」(岡山市)から開業支援を受け、3月のオープンにこぎ着けた。
全国で約250店の支援を手がけたおかやま工房の河上祐隆社長(58)によると、持ち帰りが中心のパン店はコロナ禍で大きく売り上げを伸ばしており、ビュッフェ形式のレストランやカラオケ店など異業種からの参入も増えているという。同社ではマニュアル化を徹底。「機材の進化もあり、5日間の研修があれば誰でもおいしいパンが作れるようになった」
かばはうすの松田佳奈副社長(50)は「コロナで減収となったパート勤務の人たちの雇用の受け皿にもなる。居酒屋が別の業態で成功する姿を見せることで、業界の希望になれれば」と話した。(清水優志)
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