巨大涅槃図はタイムマシン?

久保智祥
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泉涌寺

 釈迦(しゃか)の命日(旧暦2月15日)の月遅れとなる3月15日前後に、京都の寺では遺徳を慕う「涅槃会(ねはんえ)」の法要が開かれる。その際に掲げられるのが、入滅の様子を描いた大きな「涅槃図」だ。なかでも、日本最大とされるのが、皇室との深いかかわりから「御寺(みてら)」と呼ばれる泉涌寺(せんにゅうじ)のもの。

 江戸時代の画僧、明誉上人が描いた大涅槃図は縦約16メートル、横8メートル。巻いた状態だと電柱のような太さの掛け軸を、約20人がかりでつり上げるが、上部と下部は手前に折れ曲がって掲げられる。なぜ、こんなに巨大なのか。

 「江戸時代の人たちが考えたタイムマシンのようなものです」と話すのは渡邊恭章執事(58)だ。法要の導師の席に座ると、居並ぶ僧侶たちと絵の中の釈迦の弟子たちが、等身大で並ぶのだという。「あたかも、お釈迦様がその場にいるように感じられます。お参りの方にもお釈迦様が説いた、見返りを求めない慈悲の心を感じていただければ」

 《メモ》 京都市東山区泉涌寺山内町27、電話075・561・1551。市バス泉涌寺道下車徒歩約10分。伽藍(がらん)拝観料大人500円。涅槃図の公開は14~16日。絵解きもある。(久保智祥)

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