パンデミック認定は遅かったか WHO、板挟みの1年

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下司佳代子=ロンドン、合田禄
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 新型コロナウイルスをめぐり、世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)」と認定して11日で1年がたつ。感染対策の司令塔と期待されながら、十分な権限はなく、国際政治に振り回された。国境を超える未曽有の感染症は、国家の壁に阻まれる国際機関の限界を浮き彫りにした。(下司佳代子=ロンドン、合田禄)

「時間がかかり、面倒で、煮え切らない」

 「我々が最高レベルの警報を発したのは昨年1月30日の『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』で、パンデミックだと言った3月11日ではない。その間、警告を発し続けたが、対応したのは一部の国だけだった」。8日の記者会見で、WHOのテドロス・アダノム事務局長はこう強調し、パンデミック認定が遅れたとの批判を牽制(けんせい)した。

 ただ、加盟国の総意で設けられた独立調査パネルは、1月の中間報告でWHOの初動の遅れを指摘。WHOが専門家による緊急委員会の会合をなかなか開かず、事の重大性をアピールするのに役立つ「パンデミック」という言葉を使い始めたのが遅かったと苦言を呈した。

 初動はなぜ遅れたのか。

 パンデミック認定の判断の根拠は各国からの報告だった。中間報告は一連の手続きを「時間がかかり、面倒で、煮え切らない」旧来型のシステムだったと問題視。加盟国からの報告を検証するWHOの権限にも「著しい制限」があり「加盟国を協力させる動機が弱すぎる」ために速やかな実態把握が難しかったとした。

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 テドロス氏は感染拡大の初期…

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