首相指名、ある女性議員の1票 飛び交う怒号に「覚悟」

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鈴木彩子 北上田剛
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 女性の国会議員や閣僚の割合が、諸外国に比べて極端に低い日本で、昨年9月にちょっとした異変があった。菅義偉氏が第99代首相に選出された首相指名選挙で、当選1回の女性議員に、1票が入ったのだ。投票したのも、同じく1期生の女性議員。1票の意味を知りたくて当事者に会いに行くと、国政の場でじわりと広がる変化の兆しが見えてきた。

 9月16日の首相指名の朝、寺田静参院議員(45)=秋田選挙区、無所属=は、伊藤孝恵参院議員(45)=愛知選挙区、国民民主党=の事務所を訪れた。腕には、若い女性首相が活躍するフィンランドなどの事例を記した資料を抱えていた。

 「日本ではとっぴなことかもしれないが、海外では普通です」。寺田氏はそう説明し、首相指名で伊藤氏に投票することを告げた。

 寺田氏は7歳の長男を育てる母親でもある。誰に1票を託すか、真剣に考えて出した答えが、自分と同じく7歳と6歳の娘を育てる伊藤氏だった。

 伊藤氏は子育て中の議員らが集う「超党派ママパパ議員連盟」(会長・野田聖子衆院議員)の事務局長。議連の活動などを通して面識があった。後日の取材に、「同じ子育て世代の女性として、伊藤さんならやってくれるとの期待があった」と話す。

子育て政策について、なぜ国会では議論が進まないのか。伊藤氏は、ある与党議員に疑問を投げかけました。そこから与野党を超えた連携が広がります。記事後半でご紹介します。

 その日の午後に行われた首相…

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