百均材料の手製義足 脚ないコウノトリ、装着しリハビリ

中村幸基
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 左脚の下半分を失って保護されたコウノトリが、義足をつけてリハビリ中だ。兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市祥雲寺)の獣医師が、立ち直らせたいと義足を手作りした。材料はおもちゃのバットやけん玉――。百円ショップで買い求め、工夫を凝らした。

 このコウノトリは昨年5月に豊岡市の河谷人工巣塔で孵化(ふか)し、7月に巣立ったメス。9月下旬ごろ負傷したとみられ、11月ごろ徳島県鳴門市で目撃された際、左脚の下半分が壊死(えし)して欠損しているのが確認された。

 今年1月21日、稲美町の水を抜いたため池で泥に脚を取られて動けなくなっていた。住民に助け出され、播磨町の動物病院を経て翌22日、郷公園の入院棟に移された。

 治療した郷公園の獣医師、松本令以さんによると、当初は衰弱して立ち上がれず、血液検査で貧血や栄養不良がみられた。

 生きたドジョウやニジマス、解凍アジを食べさせ、1月25日には自ら餌を食べるようになった。餌は700~800グラムほどを1日2、3回に分けて。これは健康なコウノトリの1・5倍の量という。もりもり食べて体重は当初の3・2キロが、1月末ごろには3・6キロまで増えた。

 2月4日、右脚1本で立って餌を食べるまでに回復。翌5日から食事に合わせて義足を装着し、リハビリをすることにした。

 義足の材料は、野球の応援で打ち鳴らすミニバット(長さ25センチ、直径3・5センチ)、長さ調節ができる「突っ張り棒」、けん玉の玉。いずれもプラスチック製などで軽い素材だ。松本さんが百円ショップで調達した。

 バットの両端を切り、細い側に突っ張り棒を差し込んで、棒の先にけん玉の玉を取り付けた。玉で接地するため、スポンジゴムのシートで滑り止めも施した。バットの太い側の穴に、包帯を巻いたコウノトリの左脚をはめ込む仕組みだ。

 最初、左脚に義足を装着しても右脚1本で立ち、義足を地面に着けようとしなかった。「野外で4カ月ほど右脚だけで立って餌を捕り、生き抜いてきた。片脚立ちに慣れてしまい、両脚では逆にバランスが取りにくくなっている」と松本さん。

 リハビリを続けた2月14日。時折、義足を地面に着けて両脚で立って休む姿が見られるようになった。

 松本さんは「両脚でしっかり立ったり、歩いたりするにはまだ程遠く、時々伏せて休んでいます。右脚にも負担がかかっている」と言い、「無理をさせないよう少しずつリハビリを進めたい」と考えている。

 けがの原因は不明のままだ。ただ近年、電線や防獣ネット、狩猟用わなといった人工物に触れて傷つくコウノトリが増えている。

 松本さんは「人だけでなくコウノトリにも安全な環境の整備が各地で進めばうれしい」と願う。(中村幸基)