敗戦3分前、劇的な昇級 高見七段「C級負い目だった」

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村瀬信也
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 第79期将棋名人戦・C級1組順位戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)の最終11回戦が9日、東京と大阪の将棋会館で指された。昇級のかかった高見泰地七段(27)は、自身の対局では痛恨の黒星を喫したものの、競争相手の敗戦で昇級が決定。順位戦ならではの劇的な結末だった。

 順位戦は、名人挑戦権を争うA級からC級2組まで五つのクラスがある。下から二つ目のC級1組には今期37人が参加。それぞれ10局戦い、成績上位3人がB級2組に昇級できる。

 10回戦を終えた時点で、9勝0敗の高崎一生七段(34)と8勝1敗の増田康宏六段(23)の昇級が決定。残り1枠を、8勝1敗の高見七段と7勝2敗の船江恒平六段(33)の2人が争うことになった。前期の成績に基づく順位が高見七段より上の船江六段は、自身が勝ち、高見七段が敗れた場合、昇級できる状況だった。

 高見七段は東京都渋谷区将棋会館で高崎七段と対戦した。高崎七段の三間飛車に高見七段が居飛車穴熊で対抗。熱戦になったが、全勝がかかる高崎七段が好機をつかみ、リードを広げていく。高見七段は逆転を狙うが、形勢は好転しない。午後11時29分、高見七段が投了を告げ、高崎七段の勝利が決まった。

 敗れた高見七段は無言で将棋盤を見つめ、無念そうな表情を浮かべた。しかし、決着の3分前、大阪で対局していた船江六段が敗れており、高見七段の昇級は既に決まっていた。高見七段は結果的に命拾いすることとなった。順位戦で、「勝てば昇級決定」の一局で敗れたのに昇級するケースは珍しい。

 高見七段は叡王のタイトル獲得経験があり、NHKの将棋番組「将棋フォーカス」で司会を務めている人気棋士。「まだ実感がない」と語りつつ、「もっと上を目指していきたい」と抱負を述べた。

       ◇

 対局後のインタビューで高見七段は、昇級の喜びと共に、タイトル獲得後のプレッシャーや同世代から受けた刺激について語った。一問一答は次の通り。

 ――昇級、おめでとうございます。

 「ありがとうございます。実感がないですけど」

 ――高崎七段との将棋は負けたが、昇級となった。

 「今日は昇級するつもりで来た。最初、リーグ表を見た時から、高崎先生との将棋は『もしかしたら大きい一番になるかも』と思っていた。そこまで上がり目があるように、と思っていた。何とか星をつないできた。前局が終わってから、この将棋に勝つことだけを考えていた」

夢にまで追いかけてきた順位戦

「プレッシャーがすごかった」「この一番は3、4年分の価値が…」。高見七段は終局後、思いを率直に語りました。

 「勝って昇級する以外はない…

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