琵琶湖に「人工呼吸」? 酸素不足の生き物を救えるか

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杉浦奈実
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 琵琶湖の底に、酸素をたっぷり含んだ水を送る、いわば「人工呼吸」をしようとしている研究者がいる。これまで自然に起こっていた「深呼吸」が温暖化の影響でうまくいかなくなり、生き物が酸欠ですめない死の世界になってしまいかねないからだ。

写真・図版
琵琶湖の模型を持つ立命館大学の熊谷道夫客員教授=滋賀県草津市の立命館大学

 計画しているのは、長年琵琶湖を研究してきた立命館大学の熊谷道夫客員教授(地球物理学)だ。研究に向けネットで資金を募ったところ、目標額の4倍ほどが集まった。

「深呼吸」に異変

 琵琶湖では、冬から春にかけて、「琵琶湖の深呼吸」と呼ばれる現象が起きる。水面近くの冷たく酸素を多く含んだ水が沈み込み、温かく酸素の少ない底の水と入れ替わる「全層循環」という現象だ。この循環によって湖の底まで酸素が届き、水底深くの生き物も含めた湖の生態系が保たれると考えられている。

 ところが2019年、「深呼吸」に異常事態が起こった。通常、湖底の水に含まれる酸素濃度は循環後に100%近くになり、そこから次の冬にかけて徐々に減っていく。だがこの年は春になっても60~70%にとどまった。滋賀県は、1979年度の観測開始から初めて全層循環が確認できなかったと発表した。

 20年春にも70%程度までしか回復せず、2年連続で全層循環が確認できなかった。20年末から21年頭にかけて、湖底の酸素濃度はほぼゼロにまで落ち込んだ。県は今年2月、3年ぶりに「深呼吸」が確認されたと発表したが、それでも酸素濃度が完全に回復したわけではない。

 背景にあるのは、地球温暖化だと考えられている。熊谷さんは特に全層循環に影響が大きい要因として、雪の量の少なさを指摘する。「275億トンの琵琶湖の水を冷やすには、ものすごく大きなエネルギーが必要。山から流れ込む雪解け水が効果的だったが、今はかつてほど降らなくなっている」

 季節による変動もほぼなく安…

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