「発信し続ける」田中将大 渡米後も小学校訪問した理由

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 2013年、プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの初の日本一に貢献した。その後、海を渡って大リーグで活躍し、8年ぶりに古巣に復帰した田中将大(32)が、東日本大震災から10年への思いを語った。

 ヤンキース時代もオフには被災地を訪れ、被災者と交流を続けてきた。

 「長く戦っていかないといけないこと。そこに対する思いは変わらない」

 地震発生時は、新幹線で関東に移動中だった。ニュースで津波の映像を見て、被害の大きさを知った。

 「チームには家族がいても帰れない人もいて、なかなか野球に集中するのは難しい状況だった。やっぱり、こんな状況になっている中で野球を本当にやってていいのかという気持ちはずっとあった」

 震災後、仙台に戻ったのは4月7日。翌日には避難所を慰問し、被災者と言葉を交わした。

 「受け取り手の気持ちは分からない。ただ、逆に僕たちが元気をもらったというか、みんながパワーをもらった気持ちになった」

 迎えた4月29日の本拠開幕戦。1失点で完投勝利をつかみ、声援に応えた。

 「ファンの方々がたくさん見に来てくださった。何としても絶対に勝たないといけない試合だと思って投げた。自分にとって印象的な試合の一つなのは間違いない」

 6歳のとき、出身地の兵庫県伊丹市阪神・淡路大震災を経験した。

 「家の中はぐちゃぐちゃになった。車の中で寝泊まりもした。ただ、あまりにも小さいころの出来事。3・11の地震が起きた瞬間に被災地にいたわけではなかったし、だから全く同じではない。その時と自分の立場も違う」

 いま、震災を知らない子どもたちが増えたと感じている。17年からは宮城県内の小学校訪問を始めた。

 「まだ完全に復興したわけではない。発信し続けないと、違う地域に住んでいる子たちは分からないだろうし、知らないことはたくさんある。発信していくことで何か意味があるんじゃないかと思って続けている」

 日本に復帰したことで、被災地との距離がさらに縮まった。復興支援を促進するために新たな取り組みも構想する。

 「(遠征中のため)また本拠に戻って、感じることもある。また別で(被災地の)身近にいることでできることは増えるだろうし、日本にいる期間も長くなる。今の段階で言えることではないけど、考えていることもある」

 1月30日の楽天入団会見では、震災10年という節目の数字を巡って「意味のあるタイミング」と語った。北海道・駒大苫小牧高から高校生ドラフト1巡目で07年に楽天入団。1年目に11勝を挙げて新人王に輝き、13年は無傷の開幕24連勝を記録し、球団初のリーグ優勝、日本一に貢献した。

 「みなさんが期待してくださっている。その期待を超えていくのが選手として必要なこと。自分のできることは一試合一試合、一球一球をしっかりと投げて、チームの勝利のために貢献していく。応援してくださる方々の声はやっぱり届いているし、またみんなで喜びを分かち合いたい。そこに向けてみんなで一緒に戦っていきたい」