帰宅困難のべ3600人受け入れたビル 副支店長の決断

有料会員記事

南日慶子
[PR]

 東日本大震災によって、東北随一の都市である仙台市でも多くの帰宅困難者があふれた。そんな中、のべ3600人を受け入れたのが東北で最も高いビル「仙台トラストタワー」。当時、想定すらしていなかった帰宅困難者の受け入れを決断したのは、タワーを管理する森トラスト仙台支店の31歳の副支店長だった。

 2009年に赴任した松方泰さん(41)は、2年後の3月11日、タワー5階の事務所にいた。突然の大きな揺れを感じ、とっさに机の下に隠れた。揺れが収まると社員にヘルメットを渡し、自身もテナントやビルの安全確認に向かった。

 前年に完成したばかり仙台トラストタワーは37階建てで、180メートルの高さは東北一。タワーが立つ仙台市青葉区も震度6弱の揺れに襲われたが、建物は揺れを吸収する制震構造で被害は限定的だったという。地震直後に周囲は停電したものの、タワーは非常用発電機に切り替わった。

 安全確認にタワー中を走り回っていた松方さんはほどなくして、1階エントランスホールに人が集まっていることに気づいた。日が傾き、雪が降り始めると、ホールの人はどんどん増えていった。

 帰宅したくてもできない人たちだった。電車が止まって帰れなくなった人、自宅が海側にあって行き場をなくした人、倒壊の危険があって自宅で過ごせない人――。こうした人たちが、タワーの明かりに吸い寄せられるように集まってきた。

 支店長は東京出張で不在。指…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。