超高エネルギーなニュートリノの反物質、南極で初観測

石倉徹也
[PR]

 1960年に予言されながら一度も観測されていなかった、超高エネルギーの反ニュートリノだけが起こす反応を、千葉大などの国際研究チームが南極の氷に埋められた観測施設「アイスキューブ」で初めて観測した。飛来したのは、電気的な性質が逆さまなニュートリノの反物質で、超新星爆発で生まれるニュートリノの10億倍のエネルギーだったという。論文が10日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。

 ニュートリノは、あらゆる物質をすり抜ける幽霊のような素粒子。太陽の内部や超新星爆発などでつくられるが、巨大なブラックホールから噴き出すガス「ジェット」などを起源とするニュートリノは、100万倍から100億倍のエネルギーがあるものもあるという。

 チームは、南極の氷床に深い穴を掘って光センサーを埋めた観測施設アイスキューブで2016年12月、超高エネルギーの反ニュートリノに由来するとみられるデータを観測した。反ニュートリノが、氷に含まれる電子とぶつかり、Wボソンと呼ばれる素粒子ができた兆候があったという。

 この反応は、米国のノーベル賞物理学者シェルドン・グラショー博士が1960年に予言した「グラショー共鳴」。約60年にわたって観測されないままで、「素粒子物理学宿題」と言われていた。Wボソンが崩壊した際の総エネルギーが予想通りだったという。千葉大の吉田滋教授は「高エネルギーなニュートリノがどこから飛来するのか。装置を大きくして観測数を増やし、解明していきたい」と話した。

 論文は、以下のサイト(https://dx.doi.org/10.1038/s41586-021-03256-1別ウインドウで開きます)で読める。石倉徹也