独裁色強まるバッハ会長の再選 剛腕ゆえの危うさ抱え

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編集委員・稲垣康介
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 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)=ドイツ=が「無風」で再選された。昨年7月の総会で2期目に挑む決意を表明したとき、オンライン会議で賛辞のコメントが延々と続いたのは、組織の一枚岩を印象づけるというより、どこか専制国家の君主のようだった。この日の総会でも、1期目の功績を持ち上げる委員の称賛が繰り返された。

 現委員103人のうち、2014年以降に就任したメンバーが55人。半数以上が、13年秋のバッハ会長就任後に選ばれた面々だ。IOC各委員会の人事権などを盾に異論を封じる会長の独裁色は年々強まり、内部から漏れ伝わってくる情報も減っている。

 象徴的なのが今年2月、バッハ会長が設置した「将来開催地夏季委員会」が2032年夏季五輪の開催候補都市に豪州・ブリスベンを選んだことだ。

 五輪開催都市を決める総会での投票は、1票を持つIOC委員が最も存在感を誇示できる場だった。その特権を奪われるにもかかわらず、「密室選考」との表だった不満はIOC委員から上がらない。バッハ氏が再選前に、11年後の開催都市を委員に諮らず既成事実化を試みたのは、権力を掌握している自信の表れだ。

 組織内の「無風」とは対照的に、1期目の8年は多くの逆風に見舞われた。

 ロシアの国家ぐるみのドーピ…

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