朝日新聞社への名誉毀損認定 評論家と出版社に賠償命令

[PR]

 文芸評論家・小川栄太郎氏の著書「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」の記述で名誉や信用を傷つけられたとして、朝日新聞社が小川氏と出版元の飛鳥新社に5千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めた訴訟の判決が10日、東京地裁であった。五十嵐章裕裁判長は、事実に基づかない内容だと本社が指摘した15カ所のうち14カ所について名誉毀損(きそん)の成立を認定。小川氏と飛鳥新社に連帯して200万円を支払うよう命じた。

 同書は、森友学園への国有地売却問題や加計学園の獣医学部新設問題をめぐる本社の報道を批判する内容で、2017年に発売された。判決は、「どちらも安倍(晋三前首相)の関与などないことを知りながらひたすら『安倍叩(たた)き』のみを目的として、疑惑を『創作』した」▽加計問題は「全編仕掛けと捏造(ねつぞう)で意図的に作り出された虚報」▽「『総理の意向』でないことが分かってしまう部分を全て隠蔽(いんぺい)して報道し続けた」▽「朝日新聞とNHKとの幹部職員が絡む組織的な情報操作」という記述や著書のタイトルなど、計14カ所は「真実性が認められない」と判断。「報道機関としての名誉と信用を直接的に毀損する内容だ」と認めた。

 残る1カ所については、本社の社会的評価を低下させるものではないとして名誉毀損を認めず、真実性の判断もしなかった。加計問題をめぐる国会質疑を報じた記事の本数が少ないとの記述は事実に反すると本社が訴えていた。

 小川氏側は本社の提訴について「報道機関でありながら議論を封じ込めるために行った。訴権の乱用だ」などと訴えたが、判決は「裁判制度の趣旨に照らして著しく相当性を欠く事情はうかがわれない」と退けた。

 判決を受け、小川氏は「極めてスキャンダラスで異常な判断だ。裁判所が個別の表現に踏み込むのは司法の暴力だ」、飛鳥新社は「当方の意見が受け入れられず残念だ」とコメントした。

 福島繁・朝日新聞社執行役員広報担当のコメント 当社の主張がほぼ認められたと考えています。小川氏が著書の中で、森友・加計学園に関する朝日新聞の一連の報道について「捏造(ねつぞう)」「虚報」などと記載した部分は事実に反し、当社の名誉を毀損(きそん)すると判断されました。当社はこれらの記載が具体的にどう違うか小川氏側に指摘し訂正を求めましたが応じられず、やむを得ず裁判所の判断を仰いだものです。「言論の自由」が大切なのは言うまでもなく、当社はこれからも建設的な言論空間を維持・発展させるため努力を続けます。