直感的に予定を把握 「ガントチャート」の使い方を解説

中島美鈴
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イラスト・中島美鈴
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 仕事をしていると、同時にいくつも仕事を抱えると思います。当分先の締めきりだと油断していると、時間がいつの間にか過ぎていることもあります。新しい時間管理の方法「ガントチャート」に挑戦してみませんか。臨床心理士の中島美鈴さんが実践的に解説します。

ガントチャートを使う前の準備とは

 前回はガントチャートを使うと、複数のプロジェクトも計画通りに進行できて、安心感や達成感が得られるというお話をしました。

 今回は、そのガントチャートの基本的な始め方をご紹介します。

 ガントチャートを使う上で、ぜひおすすめしたいのが、時間軸が縦に配置されている「バーティカルタイプ」の手帳です。

 縦の長さで直感的に時間の長さを把握できるのが最大のメリットです。

 このコラムでも述べてきたとおり、「ADHDタイプの人は、時間感覚を直感的につかむのが苦手」であることが、脳の研究でわかってきています。

 子どもの頃、退屈な授業が死ぬほど長く感じられませんでしたか? あれです。

 朝起きて、ぎりぎり間に合うと思って支度を始めたのに、気付けば出発時間になってもまだ着替えが終わっていない、あの感覚です。

 そうした時間感覚の持ち主であるADHDタイプの方には、「8:45」のようなデジタル表示よりは、針と針の間の角度で時間の長さを把握しやすいアナログ時計の方がおすすめです。

 同じ理由で、スケジュール帳も、月間予定のみを書くような大雑把な手帳は不向きで、週間バーティカルがおすすめです。

 この週間バーティカルのスケジュール帳に、仕事のルーティン(定期的な会議や昼休みなど)を黒ペンで書き出します。

 いつものことなので、特に目立たせなくていいという考えから黒ペンをおすすめしています。

 もっと目立たせるべき事項、例えば明日忘れずに持っていくものなどは赤ペン、自分の夢をかなえるための活動やご褒美には緑ペン、仕事は青ペンのように色分けすると、1週間の過ごし方のバランスが、色のバランスとして描かれるので、ひと目で把握できていいですよ。

 ここではこのコラムでおなじみのADHDの主婦リョウさんの夫、ケイさんが仕事の時間管理のためにチャレンジします。

 ケイさんは、これまでに何度かの転職を経て不動産会社の営業職として働いています。

 営業職が一番向いていることに気づいたケイさんは未診断ながらも、リョウさんと同様にADHDの傾向が強く、エネルギッシュで明るい男性ですが、書類の紛失やミスが多く、いつも締め切りに追われてギリギリ人生を送っています。

 さて、ケイさんの週間バーティカルは以下のとおりです。

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 週間バーティカルをつけ始めると、空白の時間がぱっと把握できるようになります。

 なんにも書かれていない場所がそれです。この時間帯に、各プロジェクトを進めていこうというわけです。

ガントチャートの使い方を解説

 そこでいよいよガントチャートの登場です。

 ◆ステップ1:週間バーティカルの情報を、ガントチャートに書き写します。その際、次の法則に従います。

 (1)空白の時間がほとんどない終日の予定のある日→その予定を縦に書く

 (2)1時間ほどの空き時間がある日→空白

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 ◆ステップ2:各プロジェクトをそれぞれの付箋(ふせん)でTo Doリストとして書き出します。

 このとき、文末の( )に所要時間を見積もって書きます。

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 ◆ステップ3:ガントチャートの項目欄にプロジェクト名を書き出し、それぞれの締め切りをガントチャートに赤い縦線「|」を記入します。

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 ◆ステップ4:各プロジェクトのTo Doをガントチャートの締め切りの近いプロジェクトを優先して、週間バーティカルの空白時間に予定として入れていきます。

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 ガントチャートには、その日に行うTo Doの省略した仕事名を書き、進み具合がひと目でわかるようにしておきます。

 いかがでしょうか? 大変な作業に感じられましたか?

 慣れないうちは、私がアシストして1・5~2時間かかる作業ですが、慣れてくるとご自身で30分ほどでできるようになります。

 前の月の終わりにこの作業をしておけば、次の1カ月心穏やかに過ごすことができますよ。

 でもガントチャートって挫折率が高いのです。それは引っかかるポイントがいくつかあるからです。

 次回以降、三つの失敗パターンとその対策についてお伝えします。

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中島美鈴

中島美鈴(なかしま・みすず)臨床心理士

1978年生まれ、福岡在住の臨床心理士。専門は認知行動療法。肥前精神医療センター、東京大学大学院総合文化研究科、福岡大学人文学部、福岡県職員相談室などを経て、現在は九州大学大学院人間環境学府にて成人ADHDの集団認知行動療法の研究に携わる。他に、福岡保護観察所、福岡少年院などで薬物依存や性犯罪者の集団認知行動療法のスーパーヴァイザーを務める。