薬師寺の大谷徹奘さん、旧大川小で慰霊法要へ

岡田匠
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 東日本大震災から10年を迎える。奈良・薬師寺大谷徹奘(てつじょう)執事長(57)らが11日、宮城県石巻市の旧大川小学校で慰霊法要をする。「亡くなった人の命を無駄にしたくない」という思いからだ。東京の寺で東京大空襲の追悼法要を10日に営んだ後、石巻市に入った。

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 旧大川小では津波で児童74人、教職員10人が犠牲になった。大谷さんは震災の1カ月後に石巻市を訪れ、震災半年後に旧大川小で法要をした。翌年から3月10日に東京大空襲、11日に旧大川小の法要をしている。コロナ禍の昨年は秋のお彼岸に旧大川小で読経した。

 薬師寺で今月5日にあった法話で、大谷さんは約30分間にわたり、慰霊法要を続ける理由を語った。

 大谷さんの生まれは東京都江東区の重願寺。父は1945年3月10日の東京大空襲で家族を失った戦災孤児だ。大谷さんは「戦争が大嫌い」といい、東京大空襲の慰霊法要を続ける。

 さらに師僧で、薬師寺の伽藍(がらん)を復興させた故・高田好胤(こういん)さんの思い出を紹介した。サイパンや硫黄島で戦没者の慰霊を続け、鬼気迫る形相で約2時間にわたってお経を唱えた。高田さんから「私が唱えるお経で、慰められる死に方をした人はいない。大切なのは、残された者が、亡くなった人の命を無駄にしない生き方をすることだ」と教えられた。

 大谷さんは、この言葉を胸に被災地に入る。「亡くなった人の命を無駄にしないために、どうしたらいいか考えながら被災地を巡っている。自分のできることを一生懸命にやらせてもらい、宗教者として手を取り合っていきたい」と話す。

 今年は薬師寺をはじめ約5人の僧侶が一緒に旧大川小で読経する。午後からは石巻市内のホテルで法要や法話をし、津軽三味線吉田兄弟が演奏するという。

 大谷さんは「生きている限り、慰霊法要を続けたいので、10年の節目でも気持ちは変わらない。奈良から東北は遠いが、祈ることはできる。一緒に手を合わせてほしい」と呼びかける。(岡田匠)