タイのスラムでも追悼 震災直後に募金、100万円寄付

バンコク=貝瀬秋彦
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 東日本大震災から10年となった11日、タイの首都バンコクにあるクロントイ・スラムで、地域の住民や子どもたちが参加して震災の犠牲者らを悼む催しが開かれた。この地域では震災の直後に、住民らが募金をして100万円超を被災地に寄付。それを知った日本の篤志家がお返しに1千万円超を地域に寄付するなど、善意の支え合いが続いている。

 募金は震災の翌日、2011年3月12日から始まった。呼びかけたのは、スラムの支援を続ける「プラティープ財団」のプラティープ事務局長。同じくスラムを支援する「シーカー・アジア財団」とともに義援金を集め、短い間に日本円で100万円を超すお金が集まり、被災地に寄付した。

 一連の経緯を新聞記事で知った日本人の男性(故人)が、お返しをしたいと申し出て、二つの財団に合わせて1千万円超を寄付。シーカー・アジア財団が地域の子どもたちのために運営する図書館の改修費などにあてられた。

 11日、この図書館に両財団の関係者や地域の住民代表、子どもたちなど数十人が集まり、黙禱(もくとう)や僧侶の読経などで震災の犠牲者らを追悼した。子どもたちは、被災地に贈る横断幕にそれぞれの思いで、絵や「がんばろう」といったメッセージを書き込んだ。

 プラティープさんは10年前に募金を呼びかけた時のことを「助けには行けないけれど、地域の住民一人ひとりから励ましの気持ちを何らかの形で届けたい、という思いだった」と振り返った。04年にタイ南部を津波が襲った際に日本から支援があったことや、日本からのスラムへの支援も長年にわたり続いていることが念頭にあったという。

 そのうえで、いまの被災地の人たちへのメッセージを問われ、「常に励ましあって、ともに生きて行きましょう」と話した。(バンコク=貝瀬秋彦)