午後2時46分、列島で祈り 「後世まで」と誓う遺族

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 日本社会を揺さぶった東日本大震災から11日、10年がたった。関連死を含め死者・行方不明者は2万2192人。東京電力福島第一原発廃炉作業は遅れ、4万1241人がいまも避難生活を送る。地震のあった午後2時46分、全国で犠牲者への追悼の祈りが捧げられた。

 震災は、日本の人口が減少に転じた後、初めての巨大災害だった。約32兆円が投じられたが結果的にインフラ偏重となり、なりわいやコミュニティーの再生といったソフト面に課題を残した。震災後も全国で激甚災害が相次ぎ、新型コロナウイルス感染症も猛威を振るう。財源が限られる中、首都直下地震や南海トラフ地震といった次の大災害に備え平時から持続可能な地域の将来像を考えておく必要性が増している。

 今年で最後となる政府主催の追悼式は11日、東京都千代田区国立劇場で開かれた。新型コロナの影響で2年ぶりの開催となり、例年より招待者数が絞られた。劇場には、「東日本大震災犠牲者之(の)霊」と書かれた標柱と献花台が設けられ、岩手、宮城、福島3県の花々で彩られた。天皇皇后両陛下、菅義偉首相、遺族代表ら計約210人が参列し、震災が起きた午後2時46分に合わせて黙禱(もくとう)した。

 菅首相は式辞で、犠牲者に哀悼の意を表し、「災害に強い国づくりを進めていく」と誓った。天皇陛下は、復興を実感する一方、被災地には様々な課題が残っているとして、「誰一人取り残されることなく、一日でも早く平穏な日常の暮らしを取り戻すことができるように、復興の歩みが着実に実を結んでいくよう、これからも私たち皆が心を合わせて、被災した地域の人々に末永く寄り添っていくことが大切」と述べた。

 被災3県の遺族代表もそれぞれの思いを語った。

 両親を含め11人の親族が津波で犠牲になった岩手県の佐藤省次さん(71)は、震災からの10年間を、「色々な思いが交錯する長いようでまた短いような複雑な思いが駆け巡る歳月」と振り返った。

 宮城県の荒川航(こう)さん(16)は震災の記憶が薄れてきているものの、「若い世代ができることは、風化し始めている東日本大震災の記憶を改めて呼び起こし、後世までその事実をつないでいくこと」と誓った。

 福島県の斎藤誠さん(50)は、津波で当時5歳だった次男翔太くんを失い、原発事故による避難も強いられ、「原発は一度暴れると人間の手に負えなくなり、復旧に時間がかかり、ふるさとに戻れない人を作り出すことを忘れないでほしい」と語った。

 被災者代表として、岩手県宮古市の旅館女将近江智春(ちはる)さん(40)は、「悲しみは決して癒えることはありませんが、私たちの手で大好きなまちを守り、未来に向けて進んでいきたい」と誓った。