ミストの中で瞑想、コロナで注目 高額サービスには注意

西尾邦明
「瞑想プログラム」を体験できる施設が、京都市のホテル一室でオープンした。
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 コロナ禍の不安解消や在宅勤務で集中力を高めるため、「マインドフルネス」に取り組む人が増えている。瞑想(めいそう)などを通じて実践するもので、米グーグルが社員研修で採り入れたことでも知られている。日本でも関連ビジネスが盛んになりつつあり、パナソニック凸版印刷といった大企業も参入の機会をうかがう。

 京都市南区の「ホテルアンテルーム京都」は3月、パナソニックと組み、客室内に瞑想できるブースをつくった。2畳ほどの大きさで、中に入ると優しい声のアナウンスが流れてきた。

 「霧がかるなかで、心を落ち着けてみましょう」

 楽な姿勢で座り、目を半分ほど開く。微細なミストが室内を満たし、照明の効果で遠近感がなくなってゆく。鳥のさえずりが聞こえ、森の中にいるような香りに包まれる。切符大の計測器で心拍数や呼吸の深さを分析し、瞑想の度合いを100点満点で評価する。

 この部屋は1泊8千円~1万5千円。コロナ禍でも連日予約で埋まるほど盛況だという。パナソニックはこのブースをモデルに、来年度から本格的に事業化する。まずは国内のホテルやオフィスなど1千カ所への導入をめざす。同社の金子司さんは「デジタル化やコロナ禍、災害の頻発による人々の閉塞(へいそく)感を解放する手段にしてほしい」と話す。

 凸版印刷もオフィス向けの「瞑想ポッド」を売り出した。ドーム状の内部に入ると、リラックスや集中など目的に応じて音や照明で瞑想に導く。効果の測定を組み合わせたサービスを昨年から販売している。NTT西日本はメンタルヘルス対策の一つとして、昨年12月~今年1月、事業開発部門の社員約30人を対象に、瞑想のオンラインセミナーを実施した。

 スマートフォンのアプリなら、もっと手軽に瞑想を体験できる。

 ラッセル・マインドフルネス・エンターテインメント・ジャパンが昨年7月に出したアプリ(税込み月300円)は、歌手の倉木麻衣さんのガイダンスや、音楽家の大沢伸一さんの楽曲が使える。大沢さんは「自由に聞いてもらって、気持ちを整えてもらいたい」と話す。トルコ発のアプリ「メディトピア」は、国内100万人超の利用者を抱える。担当者は「昨春にぐっと伸びた。在宅疲れなど心のケアの関心が高まっている」とみる。

 ラッセルの試算では、関連市場は2023年までに現在の6倍近い2500億円に達する見通し。マインドフルネスに詳しい早稲田大学の熊野宏昭教授(行動医学)は「関連ビジネスは玉石混交。やたら効果を強調したり、高額すぎたりするサービスには注意が必要だ」と指摘する。アプリは月数百円、リアルの研修は1回数千円が目安という。(西尾邦明)