花園アナザーストーリー 勝者が敗者に明かした作戦メモ

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中川文如
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 勝者が敗者に種を明かす。

 なぜ、勝てたのか。どんな弱点を見つけ、どう攻めたのか。

 敗者が問い返す。

 次、どうすれば、僕たちは勝てるんだろう?

 互いに腹を割って手の内をさらけ出す。駆け引きの表と裏をすり合わせ、新たな学びを得て、これからのラグビーに生かしたい。

 年末年始を盛り上げた全国高校ラグビー大会。山形中央が旭川龍谷(北北海道)を15―0と下して16大会ぶりの勝利を挙げた一戦を巡り、そんなミーティングが開かれた。3月初めのことだ。

 前回大会で報徳学園(兵庫)に1試合ワースト記録となる162失点を喫していた山形中央。今大会、知恵袋となったのは「プロコーチ」の藤森啓介(35)。

 現役時代は早大学院、早大で扇の要・スクラムハーフを担った。早大コーチを経て早稲田摂陵(大阪)の監督に就き、未経験者ばかりのチームを理詰めの指導で導いた。2016年には激戦の大阪第2地区で花園予選決勝に進出。19年、中竹竜二・元早大監督を中心に指導やマネジメントを研究する一般社団法人「スポーツコーチングジャパン」のメンバーとなった。様々な高校や大学から依頼を受け、主に短期の指導にあたっている。

 昨年7月から月に1度、東京から山形に通った藤森。花園での対戦相手が旭川龍谷に決まると、焦点を絞った対策をチームに授けた。

 手の内をさらけ出す両者の交流を発案したのは、藤森だ。

 あの一戦。山形中央は前半に3トライを奪ったが、後半は0―0。旭川龍谷の粘り強い防御に苦しんだ。

 「ひたむきなタックル、最後まであきらめない姿勢。敵ながら、グッと来た。そんなチームに対し、自分に何かできることはないか、考えたんです」

 「ノーサイドって言いますよね。試合が終われば全てが終わり、ではないから」

 一緒に振り返ってみませんか?

 藤森は旭川龍谷の小西良平監督(43)に持ちかけた。返事はこうだった。

 「力を出しきれず、モヤモヤした思いを抱えながら新チームを始動させていた。ぜひ、お願いします。選手たちと、一緒に学ばせてほしい」

 かくして、試合より長い1時間半に及ぶオンラインミーティングが幕を開けた。

 旭川龍谷の監督、コーチ、選手と藤森。

 隠し事なしに、語り合った。

最初の分岐点はキックオフ

 「思い描いていた攻撃ができ…

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