変化球は無数? ソフトボール、進化する「指先の魔術」

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井上翔太
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 1年延期された東京五輪で金メダルが期待されるソフトボールは、野球とは異なる変化球が存在し、多彩だ。かつて女子日本代表を率いた宇津木妙子さん(67)は、わずかな感覚の変化が球筋に大きな影響を与えることから「指先の魔術」と呼ぶ。その歴史をひもとくと、変遷したルールと重なる一面があった。井上翔太

 2008年の北京五輪で、日本のエース右腕、上野由岐子(38)を支えた球種はシュートだった。

 長年のライバル米国と戦った決勝。前日に2試合を完投していた上野の右中指はマメがつぶれ、皮がめくれていた。本来ならば110キロ台の豪速球が持ち味だが、決勝は100キロ台。丁寧にコースを狙う投球に徹した。1点リードの六回1死満塁、2人続いた右打者に、内角へと食い込むシュートを多投。いずれも詰まった内野への飛球に抑え、金メダルをつかんだ。

 上野がシュートを操れるようになったのは、銅メダルだった04年アテネ五輪の後だった。当時、所属先の監督だった宇津木麗華・現日本代表監督(57)と渡米。現地のコーチに投げ方を教わった。宇津木監督によると、上野がコツを覚えるまでにかかったのは約2時間。「使えると分かってからは、逆に封印することにした」と回想する。

 このころはシュートやスライダーといった横に曲がる変化球は、国内ではまだ珍しかった。これらが一般的になる上で大きな転換点となったのが、02年から採用された新たなルールだ。

 国際ソフトボール連盟は、女…

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