ローマ教皇 なぜそこまでしてイラクへ行きたかったのか

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記者コラム「多事奏論」 論説委員 郷富佐子

 破壊された教会の前で白いハトを放つローマ教皇フランシスコ(84)の映像を見ながら、2代前の教皇だった故ヨハネ・パウロ2世の「無念」を思った。

 キリスト教ローマ・カトリック教会のトップであるフランシスコが今月、イラクの地を踏んだ。ローマ教皇が同国を訪問するのは初めてで、歴史的な旅となった。

 新型コロナウイルス禍でのイラク行きについては、ローマ教皇庁(バチカン)内でも疑問視する声があったと聞く。イタリアを除けば外遊自体、一昨年に日本とタイを訪れて以来で、15カ月ぶりだった。

 それでも決行したのは、ひとえに教皇本人の強い意思があったからだ。

 旧約聖書に登場し、ユダヤ、キリスト、イスラムの3宗教の祖とされるアブラハムの生誕地、南部ウルへの訪問。イラクのイスラム教シーア派最高権威のシスターニ師(90)との会談。少数派として迫害されてきたキリスト教徒らを集めたミサ――。

 いずれも、教皇が力を入れる「和解と対話」をアピールするには絶好の機会だ。ふたを開けてみれば、コロナや治安への懸念を吹き飛ばすような歓迎ぶりだった。

 それでも、疑問は残った。なぜ、そこまでしてイラクへ行きたかったのだろう。

 忘れられない光景がある…

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