大村氏「辞職を」、河村氏「謝罪を」 年金問題で延長戦

小林圭、中野龍三
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 偽造事件に発展したリコール署名問題で対立を深める大村秀章愛知県知事河村たかし名古屋市長が、衆院議員時代の年金受給をめぐっても火花を散らしている。当時は制度廃止を主張しながらも議員年金を受給する河村氏に、大村氏が「政治家の資格はない。ただちに辞職すべきだ」と批判。12日、河村氏が大村氏に議員年金の受け取り状況を尋ねる公開質問状を出すなど応酬が続く。

 「政治家の公約違反としては極めて悪質だ。事実関係を説明してもらいたい」。10日の記者会見で大村氏自らこの話を持ち出し、強い口調で語った。

 発端は、9日に名古屋市議会の質疑で出た「国会議員互助年金」をめぐるやりとり。在職10年以上の国会議員に受給資格があった年金制度で、「厚遇」批判を背景に2006年に廃止された。衆院議員を5期16年務めた河村氏は受給しており、自民党市議が「民主党議員だった河村氏は『議員特権』と制度を批判していたはずだ」と追及した。

 これに、当時自民党衆院議員で制度廃止を訴え活動していたという大村氏がたたみかけた。告示まで1カ月を切った名古屋市長選(4月11日告示、25日投開票)へ、河村氏はまだ態度を表明していない。「河村氏は出馬すべきでないということか」と10日の会見で問われた大村氏は、「ただちに政治責任をとって辞職すべきだ」と応じた。

 河村氏も直後の10日夜、報道陣に経緯を説明。河村氏に議員年金を受け取る権利が発生した際、一時金か年金を受け取るかの選択肢があり、年金を選んだ。年金を請求しない場合、国への寄付と見なされ、寄付を禁じた公職選挙法に抵触するおそれがあると、衆院事務局から説明を受けたという。

 受け取った議員年金は使わず積み立てており、政界引退後に寄付するとして、年金を管理する預金口座の通帳のコピーも報道陣に配った。そして「事実を丁寧に調べずめちゃくちゃ言っている。直ちに謝罪し撤回すべきだ。辞職するのはどっちだ」と大村氏への怒りをあらわにした。

 大村氏も11、12日と連日、会見で「河村氏の個人資産になっている。受給すべきでなかった」と言及し続けている。

 かつて「盟友」と呼ばれた両氏だが政策の路線対立があり、一昨年の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」をめぐって河村氏が昨年、大村氏へのリコール運動を支援する事態になった。大村氏はリコール署名でも、「事実関係を明らかにし、説明責任を果たすべきだ」と河村氏の批判を続けている。(小林圭、中野龍三)