いらだつミャンマー国軍、スーチー氏側への弾圧強化

バンコク=福山亜希、貝瀬秋彦
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 クーデターで権力を握ったミャンマー国軍が、アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)への弾圧を強めている。11日にはスーチー氏の「汚職」疑惑まで主張し始めた。NLD側が国軍に対抗してつくった組織が国内外で支持を広げており、危機感を募らせているとみられる。

 ミンアウンフライン国軍最高司令官がトップを務める意思決定機関「連邦行政評議会」の報道官は11日の会見で、スーチー氏がヤンゴン管区政府のトップから現金60万ドル(約6500万円)と金塊を受け取っていたと主張し、汚職防止委員会が調べているとした。

 スーチー氏はクーデターで拘束された後、すでに4件の容疑で訴追されているが、これに汚職を加えることで拘束期間を引き延ばすとともに、スーチー氏のイメージをおとしめる狙いが見える。背景には、スーチー氏ら幹部を一斉に拘束したにもかかわらず、NLD側が国軍に対抗し続けていることへのいら立ちがありそうだ。

 「大逆罪で罰せられるだろう」。連邦行政評議会は5日付の声明で、連邦議会代表委員会(CRPH)に警告を発した。CRPHは昨年11月の総選挙で当選したNLDの国会議員の一部が、クーデターによる国軍の統治に対抗するために結成した組織だ。

 スーチー氏を事実上の国のトップである国家顧問に「再任」。メンバーらを相次いで「閣僚代行」に任命し、「臨時政府」のような形を作りつつある。市民の抗議デモへの武力弾圧を続ける国軍を非難し、連邦行政評議会を「テロ組織」だと批判。各地のデモでも大勢がCRPHを支持するプラカードを掲げている。

 最大都市ヤンゴンでデモに参加していたウェイヤンさん(33)は朝日新聞助手に「ほとんどの人がCRPHを支持していると思う。最終的に軍の独裁政権にとってかわり、真に民主的な国をつくってくれると信じている」と話した。

 CRPHの活動は国外にも及んでいる。慈善活動家として知られるササ医師を2月22日、国連特使に任命。ササ氏は欧米メディアの取材を積極的に受け、国際社会に支持を訴えている。ミャンマーのチョーモートゥン国連大使は同26日、国連総会の演説でCRPHから託された声明を読み上げ、スーチー氏らの拘束を「人民の要望を完全に無視したもの」と批判した。

 国軍側は圧力を強めている。治安当局が関係者や支持者を相次いで拘束し、分かっているだけで2人のNLD党員が死亡した。関係者は身を隠しつつ活動しているとされるが、今後、国軍側がさらに強硬な手段に出てくる恐れがある。(バンコク=福山亜希、貝瀬秋彦)