毎週水を入れ替え、全滅したホタル 小6が気付いた理由

城真弓
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 4年間にわたりホタルを飼育して、気付いたことや検証をまとめた北九州市立横代小学校(小倉南区)6年の岩丸佳司さん(11)の自由研究が今年度の「全国小学生『未来』をつくるコンクール」(ベネッセ教育総合研究所主催)の環境部門で最優秀の文部科学大臣賞を受賞した。岩丸さんが4年間で見つけたこととは――。

 岩丸さんがホタルを育て始めたのは小学3年生の時、家族で「市ほたる館」(小倉北区)を訪ねたのがきっかけだ。幼い頃から虫を育てることが好きだった岩丸さん。ほたる館には、職員のアドバイスを受けながら、施設内でゲンジボタルの幼虫を育てる「マイボタル制度」があり、興味を持った。

 さっそく、100匹の幼虫を施設内の水槽で飼い始めた。毎週末、水替えに訪れて世話に精を出した。「なぜ川が汚いとホタルは生きられないのか」など、飼育する中での疑問点や、羽化を前にして死んだ個体から命の大切さを感じたことなどをまとめ、夏休みの自由研究として提出した。

 その後の秋ごろ、川に戻した一部を除き、残る幼虫も羽化せずにすべて死滅した。一方で他の人の水槽のホタルは生き残っていた。「どうして?」。施設にお願いして、長生きさせている人たちから直接話を聞いた。

 すると、ほかの水槽は数週間に1度や月1回程度しか水を替えていなかった。「頻繁に水を替えたからいけないのでは」「水道水ではなく、生まれた川の水なら長生きするのでは」。仮説を立て、翌春には、計300匹を大きさや水質など環境の違う複数の水槽で育てて比較し、4年生の夏の自由研究としてまとめた。

 そして昨年度。施設ではなく、自宅で幼虫を育てることにした。マイボタル制度では、ほたる館の職員が巻き貝の「カワニナ」をエサとして日々与えてくれるが、自宅では自身でエサも調達する必要がある。

 カワニナの生態を調べ、自宅でカワニナも育て始めた。ホタルの幼虫の成長とカワニナの大きさを合わせる必要があり、大変だった。その経験から、イカやボウフラなどカワニナ以外のものは食べるかどうかまで研究を広げた。

 4年間飼育を続けた中で、わかったことがある。水質やエサなど、ホタルが生きるためにはその生育環境のすべてを再現する必要があるということだ。カワニナが育たない川ではホタルも育たない。人工的に違うエサをあげても、小さく育ったり大きくなりすぎたりで、生態系のバランスを壊すだけだ。

 「ホタルを絶やさないようにと増やすことを考えて飼育を始めたけど、生育環境を守ることが一番大事だと気づいた」と岩丸さん。

 中学受験のための勉強もあったが、新型コロナによる休校期間を利用して、これまでの研究をまとめた。集大成としてコンクールに提出した。すると「身近なものを出発点に、自分ごととして課題意識を持ち、仮説をしっかりと立てて研究の形にまとめている」などと評価され、環境部門の応募721件の中でトップに選ばれた。

 4年間続けられたのは「毎日えさをあげるのは大変だけど、でもかわいい」というホタルの魅力ゆえ。ホタル研究にはいったん区切りをつけるが、中学校では環境を守るための活動に取り組む予定という。(城真弓)