保育所の募集、突然の打ち切り 新年度前に「退職しか」

向井光真
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 京都市が、市営聚楽(じゅらく)保育所(中京区)の子どもの募集を突然とりやめるなどしており、保護者らが不信感を募らせている。新年度が近づくなか、混乱を収拾する解決策は見えてこない。(向井光真)

 「横暴だ」。聚楽保育所に子どもが通う親たちは取材にそう話し、憤りをあらわにした。

 怒りの原因は、昨年12月の市の発表。市内にある保育所の今春からの第1次利用(1次調整)申し込みを締め切った上で、聚楽保育所の受け入れ枠について「1歳児3人、3歳児2人、それ以外の0、2、4、5歳児はゼロ」と明らかにしたのだ。

 すでに12人の入園が申し込み済み。うち7人が募集対象外となってしまい、別の保育所を検討せざるを得なくなった。

 聚楽に子どもが通う保護者2人は今年2月、改善を求めて署名活動を開始。0歳児の次男の入所を申し込んでいた40代の男性は、正当な理由がないのに入所を認めないのは違法だとして、1月に市を相手取って京都地裁に提訴した。

 提訴した男性の妻は記者会見で「条件が合う保育園が(聚楽の)ほかにない」と話し、育児休業の延長が難しく、保育所に預けられなければ退職を迫られると訴えた。

市長「縮小や廃止を含め検討」

 市の言い分はこうだ。

 財政難打開と、多様な保育ニーズに応じるため、市は市営保育所の民間移管を2012年から進めてきた。聚楽保育所も対象だ。

 だが、聚楽の移管先を16年と19年に募ったものの、施設の老朽化もあってか応募はゼロ。20年2月の公募で手を挙げた下京区社会福祉法人も同年10月になって辞退した。

 見通しが立たないなか、市は聚楽の中長期的な継続は困難と判断。ただし、市内全体の1、3歳児の保育希望が多いため、その年齢に限って21年度も聚楽で受け入れることにした――。

 「縮小や廃止を含め、あらゆる選択を検討する」。門川大作市長は2月議会でこう述べ、聚楽廃止の可能性にも言及している。

 署名活動をしている保護者らの訴えが受け入れられるかは不明だ。保護者の一人は「コロナ禍で生活が苦しい保護者も多く、今こそ公営保育所が必要だ。市は『子育て環境日本一』を標榜(ひょうぼう)している。役割を果たしてほしい」と話している。