「人間力高めたい」地域活動を必修に 新設の教育学科

白木琢歩
[PR]

 大阪府河内長野市に4月、高野山大学(本部・和歌山県高野町)文学部の教育学科が新たに開設される。教員養成カリキュラムで、地域活動の体験を必修科目とするユニークな取り組みを打ち出している。長年教員養成に携わってきた新学科長の理想が詰まっているが、コロナ禍もあって壁にぶつかっている。

 「教員を育てる意味を一から問い直したいんです」

 2月下旬、開設準備に奔走し、4月から学科長となる岡本正志さん(72)が熱弁を振るっていた。相手は市の森林ボランティアNPO「トモロス」の理事長、堀泰明さん(76)だ。

 教育学科は、小学校教諭を目指す児童教育と、幼稚園教諭や保育士を目指す幼児教育の2コースからなり、キャンパスは、同大と連携協定を結ぶ大阪千代田短期大学(河内長野市小山田町)を共同使用する。

 最大の特色は、1年生から教育現場以外のさまざまな地域団体での体験活動を必修とする点。「トモロス」も受け入れ先の一つだ。「教員養成系大学では全国でも珍しい試みです」と岡本さんは話す。

 岡本さんは科学教育などを研究しており、京都教育大で長年教員養成に携わってきた。従来型の養成課程に疑問を持ってきた。「相手の立場に立って考え、子どもたちに寄り添うことができる『人間力』が教師には必須。しかし、現状のカリキュラムは、単に教員免許取得の要件を満たすだけにとどまっているものが多い」

 京都教育大で副学長も務めたが、大幅なカリキュラムの改革は難しかった。その後、教育学科の開設を計画していた高野山大から基本構想の設計を依頼され、人間力を養いながら、地域活性化にもつながる方法として地域団体との連携を発案した。

 岡本さんは南河内地域で農業やまちづくりなどに取り組む団体を訪ね、協力を要請。応じた11団体のメンバーが「特任マイスター」として、学生に仕事や人生への向き合い方などを伝える。マイスターの一人でもある「トモロス」の堀さんは「市内に4年制大学ができるのは初めてで、高齢化が進むまちに若い人が来てくれるのはうれしい。できる限り支えたい」と話す。

 ただ、入学予定者は定員の50人に達していない。文部科学省によると、例年、新学科開設の認可は9月上旬ごろに出ていたが、昨年はコロナ禍で審議会の答申が遅れたため、10月下旬までずれ込んだ。

 岡本さんは「ようやく正式募集に動き出した時には、多くの高校生が進路を絞り込んでいた。今年は非常に厳しい」と話す。それでも「現場で本当に活躍できる教師を一人でも多く送り出したい」と、3月20日に実施する追加入試に向けた準備を進めている。(白木琢歩)