高校生が作った、飛沫防ぐ衝立 「密を断つ」その名は

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筒井次郎
【動画】彦根工業高校の生徒が作った「断みつくん」。女性タレントの名前のような響きの飛沫防止用衝立が、滋賀県内各地で利用されている=筒井次郎撮影
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 「断(だん)みつくん」。女性タレントの名前のような響きの飛沫(ひまつ)防止用衝立(ついたて)が、滋賀県内で話題になっている。コロナ禍の下、県立彦根工業高校(彦根市)の機械科の生徒が、授業で習った技術を使って製作。「冂」の形に折り曲げた鉄枠にポリ袋をかぶせる構造で、軽くて安価と評判だ。

 高さ73センチ、幅は55センチ。重さは520グラムで、材料費は1個500円ほどだ。昨夏から今年2月までに730個納品した。高齢者施設や学校、公共施設などで利用されている。

 作り方はシンプル。まず長さ2メートルの鉄の棒(太さ4ミリ)を「冂」の形に折り曲げる。次に溶接で、棒の先端を鉄製の土台と接合。枠の上から透明なポリ袋をかぶせると衝立になる。

 きっかけはコロナ禍での休校が明けた昨年6月。学校が衝立の購入を検討した際、アクリル板の既製品はどれも高額だったことだ。

 「自分たちで作れないか」。職員の間で意見が出た。「ポリ袋にすれば安くて袋の交換も簡単。さらに衛生的」とのアイデアが生まれた。機械科の金沢孝明教諭(61)が、試作品を手がけた。

 自由にテーマを決めて取り組む「課題研究」の授業で3年生に声をかけ、8人で製作に取り組んだ。リーダー役の西川耀(よう)さん(18)は「自分以外の人のために作るという経験にひかれました」と話す。

 丁寧な作業を心がけた。鉄の棒の折り曲げはきれいな90度に。火花が散る溶接は慎重に。材料を磨いたり傾きを修正したりするなど、細かい手順もある。

 名前を発案したのは秋山優陽(ゆうひ)さん(18)。親しまれるようにタレントの名前にあやかることを思いつき、「密を断つ」を意味する名にたどりついた。正式名は「エチケットウォール断みつくん」。

 放課後も使って6月末に50個作ると、この取り組みが新聞やテレビで紹介された。県庁から「ほしい」と連絡が来た。

 県庁を訪ね、三日月大造知事に25個贈呈した。知事からは「ネーミングがいい」と喜ばれた。広報課や記者室に置かれている。

 当初は1学期で終わる予定だった。ところが、要望が増え、材料費を負担してもらうことにして増産を続けた。やがて生徒だけでは追いつけなくなり、同窓生にも手伝ってもらった。

 秋には高齢者施設で役立ててもらおうと、クラウドファンディングで寄付を募って無償提供した。

 44個購入した草津署は、窓口や交番で利用。病院や高齢者施設では食堂、談話室に置かれている。コミュニティーセンターでの百人一首にも使われた。

 「小さいことを積み重ねて、社会貢献ができた。多くの人に感謝されたのがうれしかった」と西川さん。

 いまは部活動の「機械工学部」で1年生9人が製作にあたる。桜本翔大朗さん(16)は「3年生の思いを引き継ぎ、依頼が来たら精いっぱい作りたい」。

 問い合わせは彦根工業高校(0749・28・2201)。(筒井次郎)

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