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感染情報、外国人は翻訳頼み 「やさしい日本語」求めて

新型コロナウイルス

久保田一道、中野渉
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 外国人の住民に、新型コロナ関連の情報をどう伝えるか――。感染者数や支援の情報の多くは、自治体から発信される。しかし、言葉の壁から情報を受け取りにくい人も多い。各地の外国人コミュニティーのリーダーたちが、その伝達役を担っている。

ベトナム語で @茨城

 茨城県在住のベトナム人の多くが登録しているフェイスブックのグループでは、自治体別の新型コロナの感染状況がベトナム語で共有されている。県や水戸市が連日発表する情報を、日本語に習熟した有志が翻訳して発信を続ける。

 手がけるのは、2019年に設立された「県ベトナム人協会」のメンバーら。県内に感染が広がった昨年4月に始め、第2波、第3波と感染が拡大するたびに断続的に発信している。

 協会のアカウントでは、自治体ごとの感染者数のほか、大規模クラスターの発生状況、感染が疑わしい場合の相談窓口などの情報を連日投稿。それを、約1万4千人のベトナム人が情報交換のために登録しているグループで共有している。

 更新作業は現在、協会に所属し、長年日本に暮らす4人のメンバーが当番制で担う。県や水戸市のホームページ(HP)で日本語で公表されている内容のほか、報道も参考に感染者を自治体ごとに数え、アルファベットで自治体名が書かれた地図に落とし込む。

 メンバーの1人で、県観光物産協会で働くド・テイ・トウ・チャンさん(33)は、帰宅して子どもの世話を終えた後、作業にとりかかることも多い。「感染者数が多い日は、作業に1時間かかってしまうこともある」と話す。夕方から夜の時間帯に県内の新規感染者の情報を更新すると、「こわい」「ありがとうございます」といった反応が次々に寄せられる。

 県のHPでは、緊急事態宣言の際などに、漢字にルビを振った「やさしい日本語」と英語で内容を伝えている。ただ、毎日の感染者数や自治体ごとの細かな情報までは日本語以外の言語に対応しておらず、協会のフェイスブックを頼りにしている人は多い。

 チャンさんによると、自身が住む地域でどの程度の感染者が出たのかという情報は関心が高く、投稿が滞ると「まだですか」という問い合わせもあるという。「日本語の情報が理解できずに不安になる人もいる。求められている以上、続けていきたい」

ネパール語で @栃木

 栃木県内の約1千人のネパール人でつくる団体「とちぎネパールコミュニティー」代表のルイテル・マヘスさん(34)も、フェイスブックで検査を受けられる場所などのコロナ関連情報を流している。時短要請に応じた飲食店への県の協力金について、ネパール人に電話で申請方法を教えることも少なくない。

 ルイテルさんは、栃木市で外国人専門の人材派遣会社を経営するかたわら、県国際交流協会の委託を受け、地域の外国人に防災情報を発信する「外国人キーパーソン」も務めている。

 栃木市外国人登録者数は4298人(昨年10月1日現在)。県や同市の国際交流協会はホームページやメールで、コロナに関する情報をネパール語やベトナム語など多言語で発信している。だが、ルイテルさんのもとには、PCR検査を受けられる場所や料金に関する問い合わせがなくならない。「まだ情報が浸透していない」と指摘する。

 ルイテルさんは、2019年の台風19号の際も、栃木市が出す避難準備情報などをネパール語や英語に翻訳し、フェイスブックで随時紹介した。台風情報は「ネパール人を中心に1千人以上に届いた」とみる。外国人の住民には避難所の意味や場所、警戒レベルやハザードマップなどを知らない人も多い。「周りの人たちにはできる限りの情報を流しているが、コミュニティーに属していない外国人もいる。自治体はできるだけ多くの言語できめ細かな対応をしてほしい」と求める。(久保田一道、中野渉

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