BTSが愛した「防弾ビビンバ」 汗だくで通った食堂へ

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ソウル=鈴木拓也 ソウル=神谷毅
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BTSメンバーが通ったソウル江南地区の食堂には、練習生時代のメンバーの写真が飾られている=鈴木拓也撮影
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 米音楽界で最も権威があるグラミー賞で今年、最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス部門にノミネートされている韓国の男性アイドルグループ・BTS。授賞式を前に、ARMY(アーミー)と呼ばれるBTSの熱烈なファンの「聖地」となっているソウルの大衆食堂を訪ねた。

 ソウルで人気のショッピングストリート「カロスキル」に近い路地裏で、約30年続く「ユジョンシクタン(油井食堂)」の壁や天井には、ファンが持ち込んだBTSのポスターが隙間なく貼られる。

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BTSのメンバーが練習生時代に通ったソウル江南地区の食堂には、BTSのグッズが所狭しと並ぶ=2021年3月12日、鈴木拓也撮影

 「本当にあの子たちのおかげよ。感謝してもし切れない」。店を切り盛りする姜仙子さん(68)はそう語り、ほほ笑んだ。

 BTSのメンバーは2013年に「防弾少年団」としてデビューする前の練習生時代、練習スタジオが同じ建物の地下にあったことから、この食堂で毎日のように同じ釜の飯を食べた。姜さんによると、デビュー後にメンバーが日本を訪れた際に、食堂を紹介したことからファンが訪れるようになったという。

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BTSのメンバーが練習生時代によく食べた「フッテジトルソッビビンバ(黒豚の石焼きビビンバ)」=2021年3月12日、鈴木拓也撮影

 人気メニューは、黒豚をピリ辛のコチュジャンで味付けた「フッテジトルソッビビンバ(黒豚の石焼きビビンバ)」や、ソーセージやスパム、キムチなど具だくさんの「プデチゲ」。ともにBTSのメンバーが愛した味で、特にビビンバは姜さんがメンバーのために作ったことから、ARMYの間では「バンタン(防弾)ビビンバ」と呼ばれる。

 姜さんによると、メンバーは学校にいる時間を除き、毎日朝から夜遅くまで歌やダンスのレッスンに打ち込んでいたという。「汗でびっしょりにぬれたシャツを着たまま食べに来ていた」。店内奥のテーブルが指定席で、朝昼晩の3回、訪れる日もあった。「あのときの努力があるから今がある。そして、昔からそうだけど、素直で優しいでしょ、あの子たち。頂点に立っても偉そうにしない。だからみんなから好かれるのよ。ここまでビッグになるとは思わなかったけどね」

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ソウル江南地区で、BTSのメンバーが練習生時代に通った食堂を営む姜仙子さん=2021年3月12日、鈴木拓也撮影

 食堂がARMYを引き付けるのは、優しい語り口から分かる姜さんの人柄もある。メンバーと同じく、ファンからも「イモ(おばちゃん)」と慕われる。約3年前、メンバー最年長のジンがこっそりと、一人で訪ねてきたことがあるという。「私にとっては、孫みたいなものよ」。世界的スターになっても、姜さんとのつながりを大切にしているようだ。

姜さんや食堂を訪れる人たちに、グラミー賞への期待をききました。

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