ミャンマー、俗説の力も借りて抵抗 高く掲げた女性の服
クーデターで権力を握ったミャンマー国軍が抗議デモへの圧迫を強めるなか、市民らは次々に戦術を変えながら抵抗を続けている。昼間のデモだけでなく、外出禁止令が出ている夜間のゲリラ的なデモが広がり始めた。
「私たちは民主主義のために闘っている」。12日夜、最大都市ヤンゴンの複数の通りを大勢の若者が埋め尽くした。拘束されたアウンサンスーチー氏の肖像を掲げ、抵抗の歌を歌い、ろうそくなどを手にデモ弾圧による犠牲者を追悼した。
国軍が夜間外出禁止令を出しているため、デモは夕方には終わることが多かった。昼間のデモへの弾圧が強まるにつれ、市民らは夜にも街頭に立ち始めた。
デモの中心になっている若者らは、これまでも様々な工夫を凝らして国軍への抵抗を続けてきた。初期にはウェディングドレスなどのコスプレで国内外の関心を引きつけ、次に繰り出したのが民族衣装である女性用の「ロンジー」だ。
3月上旬、ヤンゴンの路上で無数のロンジーが風に揺れていた。ミャンマーでは女性用のロンジーの下を男性が歩くと、運気が下がると信じられている。これを逆手に取り、洗濯物を干すように数十枚を道路に高くつるすと、立ち往生する治安部隊が続出した。
「国際女性デー」の8日にはこの戦術が拡大し、女性用のロンジーを旗のように振ってデモ行進を先導する若者もいた。国軍トップのミンアウンフライン最高司令官の顔写真を道路に敷き詰め、治安部隊に「踏み絵」を迫る戦術も瞬く間に各地に広まった。
治安部隊は武力行使の度合いを強め、最近はロンジー越しにも発砲している。現地の人権団体によると、2月1日のクーデター後の市民の死者は70人を超えた。昼間のデモは危険性が高く、一部の市民が夜間にデモをするようになった。現地メディアによると、12日は第2の都市マンダレー、北部ミッチーナ、北西部ザガインなど各地で夜間に同様のデモが起き、市民や僧侶らが参加したという。(バンコク=福山亜希)
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