コメの収量、遺伝子組み換えで3割超アップ 名大など

山野拓郎
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 イネが養分を吸収する仕組みに関わる物質を増やすことで、コメの収量が3割以上アップしたと名古屋大などの研究チームが発表した。栽培にかかる労力は変わらずに食糧増産につながる可能性があるという。研究チームは今後、コメ以外の農作物への応用もめざす。

 植物は、葉にある「気孔」から二酸化炭素を取り込んで光合成し、成長する。研究チームは、気孔の開き具合や根からの養分吸収に関わる物質「細胞膜プロトンポンプ」が多ければ、気孔が通常より大きく開いて二酸化炭素を多く取り込み、さらに根からの養分吸収も増えると考えた。

 そこで、遺伝子組み換え技術を使って「細胞膜プロトンポンプ」が通常の1・5倍あるイネを開発。2016~17年に中国・海南島など4カ所の異なった環境の田んぼで育て、通常のイネと収量を比べた。どの田んぼでも細胞膜プロトンポンプを増やした方が収量が3割以上多かったという。プロトンポンプが多いイネに与える窒素肥料を半分にしても、収量が通常のイネより1~2割多かったという。

 木下俊則・名大教授(植物生理学)は「この技術は、ほかの農作物にも応用できる。食糧危機の解決や、地球温暖化の原因になる二酸化炭素の削減、環境汚染の原因になる肥料の削減にもつながる可能性がある」と話している。

 この研究成果は科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに論文(https://www.nature.com/articles/s41467-021-20964-4別ウインドウで開きます)が掲載された。(山野拓郎)