ご先祖様にもコロナ対策キット お墓参りであの世に送る

シンガポール=西村宏治
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 中華系の人たちが墓参などをする「清明節」を前にしたシンガポールの街角で、紙でできたマスクなどの「新型コロナウイルス対策セット」が売られている。燃やして先祖に捧げるためのもので、「あの世」で暮らすご先祖さまが疫病で困らないようにという心配りのようだ。

 今年の清明節は4月4日。シンガポールではこの日を挟んだ約1カ月の間に、中華系の市民がこぞって墓地や納骨堂、お寺などを参拝する。

 この際に持っていくのが「冥幣」などと呼ばれる紙でできたお金や、食品や日用品の模型。もともと墓前や街頭で燃やして捧げる習慣があり、寺院などには専用の炉も設けられている。

 祭礼品は専門メーカーが生産していて、商品には流行もある。ここ数年は旅行用のパスポートやクレジットカード、スマートフォンの模型などが人気だ。

 そこに今年はマスク、消毒液、体温計などのコロナ対策用品が加わった。地元の中国語紙が「あの世もコロナ禍に陥った?」などと報じて話題を呼んでいる。

 中心部の紙製祭礼品の専門店「ゲイラン・ティエンファッシャン」でも、コロナ対策セットを3月初めに入荷した。店員のサリー・リムさん(52)は「どれほど売れるか分からないが、お客さんから問い合わせがあったので取り寄せた。この1年、コロナ禍で祭礼が制限され、商いも苦しかった。この清明節から、今年は少しでも良くなるといいですね」と話していた。(シンガポール=西村宏治