高層ビルが災害時の「避難場所」に 帰宅難民対策が進む

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南日慶子
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 摩天楼のようにそびえ立つ高層ビルが2011年の東日本大震災を境に、災害時の「避難場所」の機能を併せ持つようになった。単に食料や毛布などを備蓄するだけでなく、発電機をはじめ防災設備をいかに充実させるかが、ビルの価値と直結する。都心の再開発は、今では帰宅難民対策とセットで進んでいる。

 渋谷スクランブルスクエア東棟(19年完成)約2800人、東京ポートシティ竹芝(20年完成)約6300人、虎ノ門ヒルズ森タワー(14年完成)約3600人――。東日本大震災の後に完成し、帰宅困難者の受け入れを表明している主なビルだ。オフィス勤務者に加え、帰宅困難者の受け入れ人数分の食料や毛布などを備蓄しており、一時滞在施設として開放する。

 丸の内・大手町地区は、帰宅困難者約2万5千人を受け入れる計画だ。18年に完成した丸の内二重橋ビルの地下4階には、エネルギープラントと全長約250メートルの地下トンネルができた。三菱地所など周辺地権者でつくる会社のもので、周辺の11棟にエネルギーを供給する。

 プラントには、蒸気ボイラー3台、ターボ冷凍機6台、ガスエンジン発電機2台がある。普段は冷暖房の空気を周辺ビルに送るが、災害時には、通常は二重橋ビル向けに使う発電機の電力を周辺のビルに供給し、トイレ用の水も送る予定だ。周辺のビルで帰宅困難者を受け入れられるようにするためだ。

 大手町の大手町フィナンシャルシティでは、16年にできた棟を防災拠点ビルと位置づける。非常用発電機を設置し、災害時にトイレも使えるように井戸や汚水の浄化設備をつくった。隣のビルには病院と薬局を誘致し、災害時に負傷者が出ても救護できる態勢を整えた。

 三井不動産も、19年に完成した日本橋室町三井タワーにエネルギーセンターを設け、発電機の電力を周辺のビルに供給している。森トラストは20年完成の神谷町の東京ワールドゲートで大容量の非常用発電機を設置し、1週間分の電源を供給できるようにした。いずれのビルも帰宅困難者の受け入れを表明している。

 東京都によると、今年1月ま…

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