買収目的のペーパーカンパニー、米で空前の上場ブーム

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ニューヨーク=江渕崇
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 ほかの企業との合併のみを目的とするが、上場時には相手先すら決まっていない――。そんなペーパー企業の株式上場が、米国で空前のブームに沸いている。合併先の新興企業を手っ取り早く上場させる手段として使われ、低金利で行き場を失った投資資金が群がる。「宴」の過熱ぶりを危ぶむ見方も強まっている。

 新規株式公開(IPO)が相次ぐのは、SPAC(Special Purpose Acquisition Company、特別買収目的会社)。それ自体で事業は営まず、有望な未上場企業をいずれ買収・合併し、上場させるための「空箱」にすぎない。

 上場時にはどの企業と組むのか特定されておらず、「白紙小切手会社」とも呼ばれる。投資家はSPAC経営陣の信用や「目利き力」を頼りに株を買う。SPACは上場後おおむね2年以内に新興企業と合併する。新興企業には通常の上場手続きより手間や時間を節約できる利点がある。

 米調査会社によると、SPACの新規上場は2019年の59件から翌20年に248件へと急増した。新型コロナ危機を受けた金融緩和で投資マネーがあふれ、ハイテク株や暗号資産ビットコインなどとともに、資金が流入する「受け皿」になった。SPACとの合併により、電気自動車(EV)の新興メーカーなどが続々と上場を果たした。

 足元で勢いは増している。今年は2カ月余りで250超が上場し、昨年1年間の実績をあっさり抜いた。今年の新規上場全体の8割超をSPACが占め、約800億ドル(約8・7兆円)もの資金を集めた。

 日本企業も一枚かむ。ソフトバンクグループは今年、複数のSPACをナスダック市場に上場させた。テクノロジー企業とのM&A(合併・買収)を狙う。

 これとは別に、日本企業を買収対象とするSPACも登場した。成功すれば、日本の新興企業が米株式市場に打って出る足がかりになり得る。

「裏口上場」根強い批判

 ただ、SPACは必要な手続…

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