みだらさと気品と 月城かなと主演「ダル・レークの恋」

有料会員記事宝塚歌劇団

杢田光
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 半世紀以上も前に生み出され、その後再演を重ねる宝塚歌劇の古典的作品「ダル・レークの恋」が、月組男役・月城(つきしろ)かなとの主演でよみがえった。愛する人と溶け合った夏の一夜の記憶を、妖しく湿度たっぷりに描き出す。

 冒頭、スモークのたかれる幻想的な雰囲気の中、白ターバンに燕尾(えんび)服の月城がひとり歌い出す。インド北部のダル湖を舞台にした、軍人ラッチマン(月城)と姫のカマラ(海乃美月(うみのみつき))の恋のゲームの幕開けだ。

 身分のよろいを脱ぎ去って自由に生きようともがくラッチマンと、貴族の体面を守りたいカマラ。思いはすれ違い、言葉は宙に浮いたまま。切なさを抱えて生きていく。

 菊田一夫書き下ろし、1959年に初演。往年の大スター春日野八千代の演出と主演で、その後レビューシーンを盛り込んで星組の麻路(あさじ)さき主演でリメイクされた。2007年には月組の瀬奈(せな)じゅんが主演している。

まとった布をはぎとって…

 長年の歌劇ファンには親しみ深い作品。ただ、どうしても時代の移り変わりを感じてしまう。序盤は芝居が悠長で、セリフも「男はこう」「女はこう」といった古めかしい表現のオンパレード。セピア色の世界に面食らうが、古典は古典として味わおう。

 芝居がこなれてくるのは、1時間ほど経ってから。ラッチマンは姫がまとった布をはぎとり、紫の丸いベッドに押し倒す。

 しっとりと腰に手をはわせたそのとき、天井からピンクの花びらがひらり。みだらさの中にも品が漂う演出で、絵画とみまごう美しさだった。

 2幕に入ると、怒濤(どとう)の見せ場の逆襲が始まる。

ソロに敵役との対決にと月城の見せ場が続きます。フィナーレには若手への愛を感じる演出も。

 雨の降るパリをさまよう月城…

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