第1回「研究者として死ぬ」逃れた先に 自由すぎる同業の夫

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藤波優
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 新型コロナウイルスは、大学で研究する40代女性の仕事と生活を直撃した。

 博士号を持っているものの常勤の職を得られず、任期制で働く「ポスドク」だ。2歳、4歳、小学校低学年の3人の子どもを育てながら研究する。同じく研究職で、准教授の夫は家事や育児に無関心だ。

 「たまに子どもとお風呂に入るくらい。子どもの小学校の担任の先生の名前すら知らないと思います」

 それなのに「自分はやっている方だ」と言われ、びっくりしたこともある。

 昨春、コロナ禍で保育園や小学校が休みになったとき、夫はオンライン授業の準備を理由に職場に行った。でも自分は、ずっと家で子どもの面倒をみていた。

 研究は微生物を扱うため、実験をしないと始まらない。家では研究はほとんど進まず、静かな環境で仕事をする夫がうらやましかった。

 文句を言うと、「じゃあ、代わりに授業やってくれる?」と言い返された。

 結婚当初は、東京都内の国立研究所で働く常勤研究者だった。夫は地方大学の研究室の先輩で、最初から別居婚だった。

 「別居は不安だったけど、研究者は1年から数年の任期付きポストが多い。そんな中で、国家公務員として一生研究を続けられるなんて、夢のようだと思った」と振り返る。

 結婚から3年ほどで妊娠し、産休と育休中は夫のもとで過ごした。夫は家事や育児は何もしてくれなかったが、自分は育休中なので、仕方ないと思っていた。

 そんなとき、夫が地元や東京からも離れた大学に就職先を見つけてきた。

 「どうしよう」

 一生、安定して研究できる立場を手放すなんてもったいない。ここを辞めたら、研究者として次はないかもしれない。

育児と研究をひとりで頑張る女性に、様々な困難が訪れます。

 でも、東京には頼れる人がい…

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