第4回「初の子持ち研究者」に教授のマタハラ でも変えないと

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小川詩織
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 いま思えば、あれは「マタハラ」だった。

 大学の研究室で働く30代後半の女性は、10年ほど前に第1子を出産後、業績がなかなか上がらなかった。そのとき、当時50代だった男性教授から言われた言葉が忘れられない。

 「子どもを言い訳にしているんじゃないの?」

 当時の自分はまだ若く、憤りや悲しみを言葉にすることができなかった。ただ、そこに立ち尽くして、引きつった顔で笑うしかなかった。

 博士号を取った後、常勤の助教になったが2年後に結婚。助教を辞め、同じく研究者の夫が働く地域に引っ越した。

 女性研究者は、別居婚が多い。一世代上までは結婚や子育てを犠牲にしたり、別居婚をしたりと、研究に人生を捧げざるを得なかったが、今は少しずつ変わってきていると感じていた。

 任期付きの特任研究員となったが、着任早々、くだんの教授からは「大きな声で、結婚のために来たって言わない方がいい」とたしなめられた。私生活を優先したということは、研究やキャリアへのやる気がないと思われる、という意味だった。

 結婚したら同居する。そんな普通の生活を望むことすら、声に出してはいけないのか。ショックだった。

 教授は、専業主婦の妻に家事も育児も任せきりの人だった。かつて研究室に所属した女性研究員の中で、出産や子育てを経験した人は皆無だった。

 約2年後、女性は、初の「子持ち女性研究者」となった。

出産した女性に心ない言葉をかける教授。女性は「この世界は15年前の感覚で止まっている」と言います。

 20代での結婚、30代初め…

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