生命保険「節税」のカラクリ 国税庁がメス、業界は騒然
柴田秀並
払う税金を抑えて会社の資産を経営者個人へ「お得に」移せる――。そんなセールストークで一部経営者に人気だった保険商品が、危機を迎えている。生命保険を使い、課税の「抜け道」と指摘されてきた税務の扱いについて、国税庁がルールを見直す方針を固めたためだ。17日に生保各社へ説明した。高額の手数料をねらった代理店などの売り文句に乗せられ、安易に加入した中小企業経営者らは思惑が外れ、大損を被る恐れさえある。一体何が起きているのか。
「臨時」の案内、販売代理店が騒然
記者の手元に、「臨時号」と題した保険販売代理店向け文書がある。3月15日付で、差出人は法人向け保険に強い中堅生保エヌエヌ生命。タイトルに「法人契約の定期保険等に係る権利の評価の見直しについて」とある。この内容に、代理店が騒然としている。
「当面の間、当該税務取り扱い変更に該当するケースが想定されるお客様に対しましては、新契約提案を一旦お控え頂きたく、何卒よろしくお願い申し上げます」
代理店に保険を売るな、と求めるかのような一文。想定しているのは「低解約返戻金(へんれいきん)逓増(ていぞう)定期保険」と呼ばれる商品だ。主に中小企業が加入する。保険料は企業が払い、経営者の万一の死亡時などに保険金を受け取れる。
一見すると、普通の生命保険に見える。
抜け道、名義変更プランとは
ただ、一風変わった商品設計と…