涙ながらに「見下す意識あった」 ホームレス襲撃裁判

松山紫乃
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 岐阜市で昨年3月、路上生活をしていた渡辺哲哉さん(当時81)が襲われ死亡した事件で、傷害致死の罪に問われた元少年2人(ともに20歳)の第3回公判が15日、岐阜地裁(出口博章裁判長)であった。当時会社員だった元少年の被告人質問などがあり、「(ホームレスだった)被害者を見下したり、馬鹿にしたりするような考え方があった」と涙ながらに語った。

 元少年は黒いスーツに身を包み、終始、か細く消え入りそうな声で弁護人や検察官の質問に答えた。

 元少年は、高校での野球の成績を評価され、卒業後、野球部のある会社に就職した。高校野球のつながりで、もう1人の被告など複数の友人と仲を深めていった。高校まで野球漬けで「高校時代は遊ぶのを我慢していたが、友達と遊ぶことが楽しいと思うようになった。ただ、社会人なので遊べないことがあると、『ノリが悪い』と言われたりした。もう遊んでもらえなくなったりするのかなと思い、何とか時間をつくって遊ぶようにしていた」と振り返った。

 友人らとは事件前、渡辺さんたちの住む岐阜市の河渡橋に計4回足を運んだ。投石行為について、「みんなと橋に行くうちに、からかったりするのが楽しくなっていった」と加わるようになった。

 事件当日の3月25日未明、元少年は、もう1人の被告のスマートフォンの通話アプリの合図で投石を開始。逃げる渡辺さんや友人女性の行く手を阻み、ライトで照らしたり、投石を続けたりした。

 1キロほど追いかけ、渡辺さんが鉄の棒をふりかざしたため、とっさに近くにあった土の塊を投げた。ソフトボールぐらいの大きさで、湿っていて少し重い土の塊は顔面に命中し、渡辺さんは倒れたという。元少年は救急車を呼ぶこともなく、もう1人の被告と逃走。約1カ月後に警察が自宅に来るまで、自ら警察署に出向くことはなかった。

 検察官の「なぜホームレスの人に投石したのか」との問いに、元少年は「嫌がらせをして楽しむためだった」。また「被害者を見下す考え方をしていたので、嫌がらせや投石をした。弱い者いじめをしていた。からかうことに夢中になり、何の落ち度もない被害者を死なせてしまい、申し訳ありませんでした」と述べた。

 一方で元少年は、亡くなった被害者たちへは「迷惑をかけた」という表現を使った。同様に「家族にも迷惑をかけた。信頼を取り戻したい」と語った。

 起訴状などによると、2人は無職の元少年(20)=傷害致死の非行内容で少年院送致=と共謀し、昨年3月25日午前1時半ごろ、岐阜市の河渡橋で、路上生活をしていた渡辺さんらへ投石を開始。逃げる渡辺さんを約1キロにわたって追いかけながら、石を複数回投げつけた。土の塊を投げた際、渡辺さんの顔面に命中し、後ろへ転倒。渡辺さんは後頭部を路面に打ち付け、脳挫傷などにより死亡したとされる。11日の初公判で、2人は起訴内容を認めた。(松山紫乃)