WHOは促進、日本も大量契約 中断のアストラゼネカ製

新型コロナウイルス

ローマ=河原田慎一、パリ=疋田多揚
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 英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、フランスドイツイタリアなどの欧州各国が15日、使用を中断すると決めた。一部の国で接種後に血栓ができる副反応の疑いが報告されたためだ。同社のワクチンは日本政府も1億2千万回分調達する契約を結んでおり、そのうち3千万回分が今月末までに輸入される予定になっている。

 AFP通信によると、スペインなど欧州十数カ国に加え、インドネシアやベネズエラがこれまでに接種見合わせを決めた。フランスなどは懸念を払拭(ふっしょく)するための「予防的措置」と位置づけている。

 欧州の国々は欧州医薬品庁(EMA)が18日に出す見解を待ち、再開を判断する方針だ。

 イタリアでは15日、保健当局が急きょ全土での中断を決め、接種予定だった市民があおりを受けた。

 15日夕、ローマで同社製ワクチン接種の予約をしていた男性(77)がローマ中央駅前の接種会場に着くと、ほとんどもぬけの殻。会場に残っていた看護師から「たった今、イタリア医薬品庁からの指示で、接種は中止になった」と説明を受けたという。男性は「ワクチン接種は受けたかったが、アストラゼネカ製ということで不安もあった。複雑な気持ちだが、ひとまずほっとしている」と取材に語った。

 欧州では、オーストリアで49歳の女性看護師が接種後に重度の血液凝固障害で死亡し、別の看護師も肺塞栓(そくせん)症で入院。デンマークノルウェーでも症例が報告され、使用を見合わせていた。

 EMAは15日に出した声明で、同社製ワクチンの接種者で血栓塞栓症が生じた割合は、一般的に血栓塞栓が起こる確率より高くなさそうだと指摘。「ワクチンがコロナを防ぐ利点は、副反応の危険を上回る」と強調した。欧州連合(EU)域内やノルウェーなどで10日までに500万人近い人が同社のワクチンを受け、血栓塞栓が報告された例は30件だったという。

 世界保健機関(WHO)の担当者も15日、これまで各社のワクチン3億回分が世界で投与され、接種との関連が証明された死亡例はないと指摘。アストラゼネカ社製ワクチンの接種を続けるよう促した。

 フランスでは、接種数の約4分の1を同社製が占めるほか、イタリアは今月末までに行う約750万回の接種のうち、約290万回を同社製でまかなう計画だった。中断が長引けば各国の接種計画に遅れが出る可能性がある。(ローマ=河原田慎一、パリ=疋田多揚)

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