コーチは日本一経験の元プロ選手 原辰徳氏も背中押した

田中正一
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 5年ぶりに選抜高校野球大会に挑む東海大甲府(山梨)で、かつて夏の甲子園4強に導いた仲沢広基さん(34)が昨年4月から、コーチとして後輩たちを指導している。プロの世界に進み、巨人と楽天で内野手としてプレーした。自らの経験を余すところなく伝えている。

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 山梨県甲斐市出身。高校2、3年時に選手権大会に出場し、3年では4番打者として県勢最高の4強入りに貢献した。国際武道大を経て、2008年秋のドラフト6位で巨人に入団。12年に楽天に移籍し、13年は1軍として故星野仙一監督のもと日本一を達成した。

 14年に引退すると、昨年3月まで巨人のジャイアンツアカデミーで幼児から小学生までを指導してきた。

 引退後、母校に何度となく顔を出し、選手たちと接してきた。そんな姿を見た恩師の村中秀人監督からコーチの誘いを受けた。「いつか高校野球の指導者になりたい」。あこがれは常にあった。村中監督は「高校や大学で活躍し、プロ野球では下積みも味わった。経験をこやしにし、指導してほしかった」と明かす。

 「巨人でやってきたことに誇りをもって、遠慮せずにどんどんプレーしていけ」。楽天に移籍が決まったとき、巨人の原辰徳監督からメールでメッセージが届いた。母校のコーチ就任が決まると原監督にメールで報告した。村中監督とは東海大相模、東海大でともにプレーし、自らをドラフト指名してくれた原監督は「村中監督のことをしっかり立てて、謙虚に指導するように」と返事をくれた。

 家族の理解も得て、妻と2人の子どもを相模原市の自宅に残し、地元に戻って教員免許を取ろうと通信制の大学で学ぶ。国語教師として母校で教えながら指導したいと考えている。

 プロでは「基本の大切さ」をたたき込まれた。捕球や送球を1時間でも、2時間でも徹底して繰り返した。「プロが地味な反復練習をやる。高校生ももっとやらないといけない」

 アドバイスをし過ぎないことを心がける。気になったことを選手と話し合ったり、練習方法を考えたりする。「素直さと同時に、自分の感覚や考えをしっかりと持つことが大事」。プロで痛感したことだ。

 楽天時代は東日本大震災の被災地の子どもたちと野球で交流を重ねた。「この子たちに力を与えられる選手になりたいと思っていた。今度は山梨からプロで活躍できる選手を育てたい」と夢を描く。

 東海大甲府は選抜大会2日目の20日、村中、原両監督の母校、東海大相模との初戦を迎える予定だ。(田中正一)