「おもろい大阪」にあらがって 岸政彦、柴崎友香が対談

有料会員記事

構成・上原佳久
[PR]

 社会学者の岸政彦さんと、作家の柴崎友香さんが共著のエッセー集『大阪』(河出書房新社)を出した。この街にほれ込んで終(つい)のすみかに決めた岸さんと、離れても故郷を思い続ける柴崎さん。それぞれの人生が交差した街の記憶をつづった本について、オンライン対談で語り合った。

 ――岸さんにとって大阪は「あとからやってきた街」ですね。

拡大する写真・図版岸政彦さん

 岸 1987年に大学進学で来てみたら、すごくおもしろい街で。これは後付けですが、小学生のころから田辺聖子野坂昭如小松左京筒井康隆といった関西の作家が好きで読んでいました。大学1回生の時にはもう、ここに一生住むんやろなと。

 ――柴崎さんは大阪に生まれ育ち、2005年に東京へ移住しました。離れて感じた大阪のイメージは?

拡大する写真・図版柴崎友香さん

 柴崎 通天閣大阪市浪速区)、道頓堀(同中央区)などテレビを通じたイメージが強いんやなと。漫才、お笑いの言葉だけが関西弁みたいに思われていて。それ以外の大阪があまり知られていないのは感じます。

 ――「こてこての大阪人」を演じてしまう人もいるとか。

 柴崎 期待に応えようと、サービス精神で濃くなってしまう。お約束には応えなあかん、という刷り込みはありますね。ちょっと前の定番だと、手で銃を撃つまねをして「バーン」と言うと、倒れてくれるとか。

 岸 「大阪の人だから、おもしろいだろう」と思われていると、それに応えようとして、実際におもしろくなっていく。予言の自己成就と言って、貼られたラベルが実現してしまうことはありますね。

 柴崎 その場の空気を読んで、楽しんでもらおうとする気持ちかもしれません。いまはこれを求められてる場なんやな、と察したら応えたい。

 ――「のりがよくて、おもしろい大阪人」のイメージの背景にそんなことが。

 岸 自分のことを「おもんな…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

【5/11まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら