デジタル教科書、本格導入へ提言 根強い懸念の声も

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伊藤和行 宮坂麻子
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 小中学校で使うデジタル教科書について、文部科学省の有識者会議は17日、2024年度の本格導入を求める中間提言を公表した。一方、子どもの脳の発達への影響や教育格差の拡大を心配する声もあり、是非を巡る議論は白熱している。

 紙の教科書の内容をタブレット端末などに取り込んだデジタル教科書は、学校教育法改正により19年度から使用が可能になった。新年度には、健康面への配慮などから「授業時数の2分の1未満」としてきた制限が撤廃されるほか、大半の小中学生に1人1台の端末が配備され、学校での活用が進むとみられている。

 中間提言はそのメリットを、画面に書き込みができ消去が簡単▽書き込んだ内容を見せ合い対話的な学びを行える▽図・写真を拡大でき細かい箇所まで見られる▽音声読み上げ機能で読み書きが困難な子どもの学習が容易▽端末だけの持ち運びで通学の負担を軽減▽動画や音声の併用で学びを広く深くできる――と列挙した。

 また、小学校用の教科書が次に改訂される24年度を「本格的に導入する最初の契機」と位置づけ、導入パターンについて、①紙の教科書を全てデジタルに置き換え②紙とデジタルを併用③一部の学年や教科でデジタルを主教材に④教育委員会などが年度ごとに選択⑤全教科でデジタルを主教材とし必要に応じて紙を使用の5例を挙げた。座長の堀田龍也・東北大学大学院教授は「新年度から児童生徒に1人1台の端末が行き届く。まずは子どもと教師に、デジタル教科書に慣れてもらうことが大事」と話す。

 ただ、現状では導入の実例が乏しく、教育効果やデメリットは十分に検証されていない。文科省によると、導入済みの公立小中高校は昨年3月現在で約8%。教科書発行社は新年度までに約95%の教科書をデジタルでも発行する予定だが、国費負担の紙の教科書と違い、デジタルは導入する自治体の財政負担が生じ、普及が進むかは未知数だ。

 懸念の声も根強くある。16日に都内であった「学校教育のデジタル化・子どもの未来」と題した講演会では、主催した「活字の学びを考える懇談会」会長で直木賞作家の阿刀田高(あとうだたかし)氏(86)が「デジタル化により教育が行き渡らない子や貧富の差が出てくるのではないか」と発言。医学者らも研究データを元に「スマホやタブレットを使いすぎると脳の発達が遅れる」という可能性を指摘した。

 会は昨年3月に設立され、作家、書籍出版団体、製紙業界団体、新聞団体などで構成。「わが国の義務教育は紙の教科書と筆記用具、黒板を主軸に、ほぼ全ての子どもが知識や教養、読解力を身につけた」とし、デジタル化への過度の依存を戒め、紙とのバランスが学校教育には必要だと訴える。

 文科省は18日から、中間提言への意見を募るパブリックコメントを始める。新年度からは、希望する全国の半数の小中学校で、小5~中3生に1教科で使ってもらう実証研究を行う。その結果をふまえ、デジタル教科書の機能や統一の規格、無償か有償か、検定の方法などを決める方針だ。萩生田光一文科相は16日の閣議後会見で「24年度に完全移行する前提ではない。当面は紙との併用も視野に、慎重な対応をしていきたい」と述べた。(伊藤和行)

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 東京学芸大付属小金井小学校…

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