東海大相模、初戦は「Tokai」対決 逆転の日本一へ

黒田陸離
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 第93回選抜高校野球大会日本高校野球連盟毎日新聞社主催、朝日新聞社後援)が19日、阪神甲子園球場で開幕する。2年連続12回目の出場となる東海大相模相模原市南区)は、20日の第3試合で、昨秋は惜敗した東海大甲府(山梨)と対戦。関東8強から逆転の日本一を目指す。

 選抜を目前に控え、グラウンドの部員たちは気迫に満ちていた。

 「しゃー!」

 「こーい!」

 ダッシュでスタートを切る前やキャッチボールでボールを投げる前、一度仕切り直すごとに、大塚瑠晏(るあん)主将(2年)を中心に全員の声が響く。気迫を表に出す伝統の練習スタイルだ。

 緊急事態宣言を受けて練習時間が制限されるなどしたが、基礎練習への意識を貫く。門馬敬治監督は「走る、キャッチボール、トスバッティング、この三つは徹底してやりたい」と話す。

 2時間の練習で、キャッチボールに1時間以上を費やすことも。「入りを強くする」ことを合言葉に、1球目にベストボールが投げられるまで繰り返す。実戦練習が少ないなか、先攻で一回表からたたみかける「アグレッシブベースボール」の感覚を養う。

 一方、長くなったのは寮での時間。主力部員ら約30人が、横に並んで歯を磨かないなど、感染対策に細心の注意を払って過ごす。

 大塚主将は翌日の練習に備えて「しっかり食べてすぐ寝よう」と心がけ、午後10時半に就寝。昨秋から体重も5キロ増え、スイングに力強さが増した。「甲子園では打撃も上がっていかないとダメ」。大塚主将の言葉には昨秋の手応えと反省があった。

 守備は、昨夏に甲子園で開かれた交流試合で好投したエース左腕、石田隼都投手(2年)や、素早い送球を見せる遊撃の大塚主将に安定感がある。一方、打線は昨夏からメンバーのほとんどが入れ替わった。長打力が課題だった昨秋、大塚主将が「武器になる」と感じたのがバントだった。

 手堅く走者を進める送りバントに、セーフティーバントやバスターを織り交ぜ、1球ごとに相手の守備を考えさせる。そんな攻撃が、昨秋は勝ち上がるごとに増えていった。

 昨秋の県大会は全試合6点差以上をつけての圧勝。関東大会1回戦の石橋(栃木)戦では「3連続バント安打」も生まれた。4点リードの六回表、無死一塁で打席に入った1番の大塚主将から、左打者が3人続いた。いずれも初球をサード前へ転がし、意表を突いて相手のミスを誘った。この回3点を追加し、コールド勝ちにつなげた。50メートル6秒0の大塚主将は「セーフティーバントなら塁に出られる」と自信をのぞかせる。

 一方で、バントを「悔しかった」と振り返るのは、4番を打った柴田疾選手(2年)。昨夏までは投手で、昨秋に野手になったばかり。だが、走者をかえすという主軸の自覚は十分に芽生えていた。関東大会準々決勝の東海大甲府戦、1点リードの九回表無死一塁で出たサインは送りバント。初球で決めたが後続が倒れ、その裏に逆転負けを喫した。「あそこは打ちたかった」。帰りのバスで頭にこびりついた、あの悔しさは甲子園で振り払う。

 昨秋から約5カ月間、選手たちは「スイングスピードが上がった」と口をそろえる。守備を揺さぶるバントに、鋭い打撃が加われば、チームの目標である、10年ぶりの選抜優勝が見えてくる。(黒田陸離)